2016年11月8日火曜日

ワンデーアキュビュートゥルーアイ レポート - 1 Day ACUVUE TruEye -

世界初ワンデータイプのシリコーンハイドロゲルレンズ。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」


このレンズを使ってみて、特に合わないということがなければ、もうコレ使っておけばいいのではないでしょうか、というくらいのレンズです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの第三世代ハイドラクリアテクノロジーによって、人の角膜よりもなめらかな表面となっていて、硬い素材でありながら良いつけ心地を実現しようとしています。

ちなみに、この滑らかさ(摩擦の少なさ)はアキュビューモイストのほうが上回っています。成熟した製品は強いです。

また、トゥルーアイは裸眼時と比べてもおよそ98%の酸素を通します。アキュビューモイストは88%、デイリーズアクアは89%あたりなので、それと比較してかなり裸眼に近い状態だといえます。
このくらいだと一日着けていてもそれほど影響がないのではないかと考えられています。

Dk/L値は118とワンデーアキュビューモイスト(33.3)の3倍以上。
まさに桁違い。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの伝統であるUVカットもついていて、とにかく目に優しいような謳い文句を揃えたレンズです。

シリコーンハイドロゲルレンズはアルコンやボシュロムも出していますが、トゥルーアイの特筆すべき点はその価格です。他社シリコーンハイドロゲルと比べても2/3程度の価格で入手できることもあります。

パッケージ


アキュビューシリーズで統一されたコンセプトを受け継ぐデザインです。
モイストよりも少しだけ高級感が感じられると言ったところでしょうか。


アキュビューのブリスターパッケージはほぼどれもおなじ正方形のもの。
他のメーカーと比較するとあまり工夫の無い印象を受けます。


ブリスターパッケージを切り離す際に、注意しないと隣のパッケージまで切ってしまうこともありますので、もう少し工夫があってもよいのかなと言う気もします。

今回はアイルランド製のようです。


つけてみた感じ


コシがあるレンズのため、ブリスターパッケージから取り出しやすいです。
保存液は気持ちぬるぬるしているもので、コンタクトレンズを入れる際になじみやすそうな印象を受けます。

形の問題なのか、素材の問題なのか、瞳へのノリは少し悪い感じもします。
一度入ってしまいさいすれば違和感がなく、ずれて落ちてしまったのかなと思うくらいのときもあります。

トゥルーアイは視力が出やすいレンズです。
眼科で比較してみると同じジョンソンエンドジョンソンのアキュビューモイストと比較してもより明るく、はっきりとものが見えます。(つけた直後だけかもしれません)

そのためか、他のレンズに比較して近くが見づらい(いわゆる老眼状態になる)ため、VDTが中心であれば少し度数を落とさないと目の負担が大きいかもしれません。

46%と従来のハイドロゲル素材と比べると含水率の低いレンズですが、装用感は高含水レンズと遜色ないつけ心地です。

数時間経過後の段階では、レンズが意識されることも少ないです。

ただ、8時間を経過してくるとややレンズのエッジ部分が気になり始まりだすことがあります。
これはいつもというわけではなく、ときどき意識される程度です。
今回BCが8.5のほうを着けているので、よりその感覚が強くなるのかもしれません。

ちなみに、このレンズのBC9.0は私には緩く、瞬きをしたときに外れたり、なんかの理由で目を軽くでもこするようなことがあるとすぐに外れて落ちてしまう経験を何度もしました。

モイストでもずれたり折れたりした経験が何度かあることからも、アキュビュー系のBC9.0は私にとっては明らかに緩いです。(コンタクト屋さん併設眼科でみてもらったうえで購入しました)

その後、他の一般眼科で両方のフィッティングを見てもらったところ、どちらでも目の中の動きは問題ないが、8.5のほうが締め付ける感覚を覚える可能性がありつつも、ズレが少ないので向いているだろうとのことでした。

シリコーンハイドロゲルのレンズはタンパク汚れに強く、脂質の汚れに弱いと言われています。
ごくまれに長時間着けているとやや曇るような感じを受けることがあります。

また、なぜか一時的に視力出にくくなることがあります。
もともと私はそれほど近視が強くないため、一瞬レンズが外れてしまったのかと感じます。
(実際にはレンズを外すとそれ以上に見えないが、見えている方との比較になるためこのような感じをうけます)

装用感が比較的良いため、外れいているのか入っているのかがわかりにくいということもあります。

全体としては極端に目がつかれるようなこともなく、明らかに従来のハイドロゲル素材よりも楽です。


その他


シリコーンハイドロゲル素材のワンデーレンズとして業界を独走していましたが、最近次々と各社がこの素材でワンデータイプのコンタクトレンズを発売してきました。

後発のメーカーはより装用感の向上にポイントをあて、表面加工や含水率等の工夫をしています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンも、最新の技術を投入したワンデーアキュビューオアシスを発売し、シリコーンハイドロゲルレンズも1社で複数の商品を揃える時代に突入しました。

トゥルーアイはお手軽にシリコーンハイドロゲルを使うことができるという点においては、独自の立ち位置にあります。
価格的には従来のハイドロゲル素材並で、高い酸素透過率を得られます。

体質的にシリコーンがダメな人もいるので、すべてがシリコーンハイドロゲルに置き換わることは無いと思われますが、シリコーンハイドロゲルの中ではベーシックモデルとして続きそうな気もします。

基本スペック


販売名:ワンデー アキュビュー トゥルーアイ
タイプ:1日交換、終日装用
分類:グループV(シリコーンハイドロゲル)
DIA:14.2mm
BC:8.5mm(他に9.0mmもあり)
含水率:46%
Dk値:100
Dk/L値:118 @-3.00D
中心厚:0.085mm @-3.00D
USAN:narafilcon A
製造:Johnson & Johnson Vision Care, Inc. (米国)、Johnson & Johnson Vision Care (Ireland)(アイルランド)

世界初シリコーンハイドロゲルワンデー。米国のVistakonで開発されました。
素材そのもののDk値は先行して販売されていた2ウィークタイプと比べて高くないものの、ワンデータイプとして十分な酸素透過性を持ち、高めの含水率によって装用感もよいです。

価格的にはすでに同社のアキュビューモイストと比較してもそれほど変わらず、ハイドロゲル素材ならモイスト、シリコーンハイドロゲルならトゥルーアイと両立した商品展開がされています。

お値段から考えても、体質的に合わない人を除きワンデータイプのシリコーンハイドロゲルとして最もおすすめになるレンズではないでしょうか。

2016年11月2日水曜日

デイリーズアクアとデイリーズアクアコンフォートプラスの比較

日本アルコンから販売されいてる「デイリーズアクア」と「デイリーズアクアコンフォートプラス」

街のコンタクトレンズ屋さんでも取扱が多く、特に前者は比較的安価に販売されていることもあり愛用している人も多いと思われます。

国内の通販サイトでも1,300円くらいで買えますし。

他方のデイリーズアクアの上位バージョンで、潤いを改善したことがウリの「デイリーズアクアコンフォートプラス」(以下は「コンフォートプラス」と記します)

こちらは結構高くて、国内サイトだと2,000円を超える値段で売っているケースが多く、海外サイトで購入しても送料込みで2,000円弱します。

このふたつ、似て異なるレンズでしてレンズそのものの素材はおなじなのに、ベースカーブやDIAといった形状が異なります。

箱のデザインも結構違っていたりします。
(両方とも国内正規品)
サイズ表記もフォントからレイアウトから全部違います。

説明書きもデイリーズアクアは日本語中心のいかにも日本人向けですが、
コンフォートプラスは海外のパッケージそのままです。

デイリーズアクアは海外パッケージとは別に国内パッケージを作っているため日本語中心ですが、コンフォートプラスは世界共通パッケージをそのまま国内でも流通させているといったところでしょうか。

コンフォートプラスはデイリーズアクアの改良版とされています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンのアキュビューのように、素材と形状は同じにしながら潤い成分などを変えて改良するのではなく、基材だけ同じにしてイチから全く異なるレンズを作っています。

形状の違いのほか、コンフォートプラスの方は保存液にHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)とPEG(ポリエチレングリコール)が含まれています。

前者は食品加工物としても使われていて、滑りや粘り気を与える効果があります。アルコンではクッション材と例えています。
また後者は界面活性剤の性質を持ち、吸湿性を利用することで蒸発を防ごうとしているものと予想されます。同じくアルコンのサイトでは涙を引き寄せると書かれています。

というか、形状はともかくとして保存液しか違わないのですかね、このふたつは。

形状の改良により乾燥に強くなったという可能性もありますが、実はあまり影響がなく、むしろ大きくなったことによって装用感は上がったかもしれませんが、その分レンズが瞳の涙を吸収して発散することから乾燥する可能性は増えたのではないかと。

店頭ではそれなりの価格差で売られていますが、もしそのほとんどが保存液の改良分だとしたら、お値段に見合う効果があるのかと期待しちゃいます。


ということで、片目にデイリーズアクア、もう片目にコンフォートプラスを使い比べてみました。

ブリスターパックの形状はおなじ。

デイリーズアクアは5枚全体でひとつのデザインになっていますが、コンフォートプラスは一つ一つがおなじデザインで独立しています。

アルコンのこのパッケージは切り離しがしやすく、開けやすい秀逸なデザインだと思います。

着けて比べてみました


初めに、ブリスターパックを開けてレンズを取り出そうとすると、保存液の違いがはっきりと判ります。

デイリーズアクアは比較的さらさらとした保存液なのに対して、コンフォートプラスはかなりぬるぬるしています。同時に触ると明確に違いが感じられます。
このぬるぬる度合いは保存液にうるおい成分が入っているプロクリアワンデーよりも上です。

レンズの色もデイリーズアクアはほぼ無色に対して、コンフォートプラスは薄い青色で判りやすい。
感覚的には改良されていることがわかりやすいです。


実際に比べてみた結論としては...

うーん、違いがわからないかな。

ソフトレンズなのでベースカーブの違いもあまり影響が無いですし、サイズは若干コンフォートプラスのほうが大きいものの、それほど意識されることもないです。

朝のつけた直後の感想としてはほとんど同じです。
コンフォートプラスのほうが保存液の潤いがあるため、気持ちフィット感が良い感じを受けますが、着けて数分もしてみればそれほど違いがあるようにも感じられません。

午後から夕方にかけてはもうどちらがどちらなのか判りにくい感じです。
むしろコンフォートプラスのほうがBCが大きいせいか少しエッジの違和感を感じることがあります。ただ、明確な違いがあるかと言われればわからないというところが本音です。

酷使する効き目側は違和感を感じやすいのですが、この違和感はコンフォートプラスの時のほうが感じることが多かったのは意外でした。

12時間を超えるくらいになるとデイリーズアクアのほうが少しゴロゴロする感じを受けます。しかしこれも明確に違いが分かるのかと言われれば気のせいかも、という程度です。
日によっては感じないこともあり、明確な差が出るほどではなく、誤差の範囲のような気がします。

このふたつのレンズの比較に限って言えば、違いがほとんどわかりづらいという結論です。

ドライアイの人であれば違いが明確にわかるかもしれません。ただ、私はほとんどコンフォートプラスの保存液効果を感じることはありませんでした。乾燥感にしてはほとんど同じでした。

デイリーズアクアは滑って外しにくいという意見が多いレンズです。
慣れるとそれほどでもないのですが(トータルワンやオアシスワンデーのほうがずっと外しにくい)、コンタクトレンズ全体の中では滑りやすい方かもしれません。

これについてはデイリーズアクアもコンフォートプラスもほぼ差がないといえます。

店頭での価格差を考えると、総合的にどちらかと言われれば私ならデイリーズアクアに軍配を上げます。

コンフォートプラスで採用された技術は装用直後など確かにある程度の効果を感じることがあります。

ただ、乾燥が気になる人であればソフトサンティアなどをこまめに差したほうが現実的です。

コンフォートプラスの価格帯になると、シリコーンハイドロゲルと競合するゾーンになるので、従来素材にこだわらなければトゥルーアイも比較対象に入ってきます。
酸素透過性、感想のしづらさでは一定の評価があるトゥルーアイと勝負をするのは少し厳しい感じです。

逆に、シリコーンハイドロゲルが合わない体質であれば、デイリーズアクアにしたほうがお財布に優しく、より「使い捨て」感あるレンズです。

シリコーンハイドロゲルの半値近い価格メリットを活かして、装用時間を短くした朝晩のピンポイント2枚使いなんてのもありなんではないでしょうか。

ディスプレイ作業が多い人は日中はメガネでも問題なさそうですしね。

2016年10月23日日曜日

ボシュロム バイオトゥルーワンデー レポート - Biotrue ONEday -

ボシュロムの最新技術の結晶「バイオトゥルーワンデー」


ボシュロムは国内ではメダリスト、海外ではソフレンズブランドでワンデーを展開していましたが、全く新しいブランドとして発売しているコンタクトレンズです。

バイオ・インスピレーション(生体模倣技術)によって作られた独自素材のハイパージェルによってつけ心地の良さと乾きにくさを両立しています。

最近多くなったPCを中心とするVDT作業の間、人の瞬き回数は通常の1/3くらいになるそうです。瞬きが減ることでレンズの表面はより乾燥します。

このような環境で使われるレンズとして、レンズの表面は角膜が水分を保持する仕組みを模倣して、蒸発を防止する「うるおいバリア」を形成。中心部のPoloxamer407がレンズに水分を留める構造となっています。
ボシュロムによれば16時間経過後でもほぼつけ始めとおなじくらい(98%)の保水ができるとのこと。

つけ心地に大きな影響を与える含水率は78%とソフトコンタクトレンズの中では最高クラス。非常に柔らかく着けた瞬間にみずみずしいことがはっきりと体感できます。

高い含水率と酸素の効果的な取り込みによって、Dk値は42とシリコーンハイドロゲル以外の素材としては最高峰の値です。ボシュロムによれば瞳の表面に大気中の酸素がどれだけ届くかという酸素流量率は93%と、こちらも高い値です。

さらに、非球面デザイン、UVカット機能もついていて、スペック的には非の打ち所が無いレンズです。

後発であるため、それまでの課題が克服されていると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

パッケージ


緑をベースに青でアクセントをつけたデザインは、コンタクトレンズ屋さんの店頭でも目立ちます。


国内で販売されているものは国内専用の箱のようで、箱の裏側の説明は全て日本語です。
箱の中には添付文書が入っています。
国内正規品は法律により添付文書が必要ですが、ボシュロムは国内で箱詰めするためか箱の中に入っています。


そのためか、販売時点では箱にラミネートはされていません。
アキュビューのように箱の正面に挟んでデザイン台無しにするよりは好印象です。

みずみずしい青色は却って乾燥しやすいような印象も与えがちなので、あまり水分を意識させないパッケージは乾燥に強い新世代レンズと言う位置づけを考えると斬新でした。

ブリスターパッケージはボシュロム伝統の大きめかつ、開けにくいものです。
がっちりとくっついていますが、クーパービジョンにありがちな開けた瞬間に「ピュッ」と保存液が飛んでくることはありません。


全体が大きく、レンズが入っている部分の体積も大きく取ってあり、机においたときも安定するような工夫が見られます。

ソフトレンズは蓋を開けたらそのまま手のひらにドボンと落とすような取り出し方がおすすめされているようですので、取り出し易さの形状は関係ないのでしょうか。

それにしてもボシュロムは箱大きすぎですね。
ブリスターパッケージが大きいため、必然的に箱も大きくなっています。
同じ量(30枚)で高さがこれだけ違います。


つけてみた感じ


まずはじめに目に入れた瞬間、これまでのレンズとの違いがわかります。

78%という高い含水率がなせる技なのか、瞳と一体化するようにすっと馴染みます。
この馴染みの良さはつけ心地が良いと言われるクーパービジョンを凌駕します。

これだけ高い含水率なので乾きやすさが気になるところですが、乾燥を防ぐテクノロジーによって、高含水率でありながら長い時間装用していても乾いた感じがほとんどありません。

VDT(ディスプレイを見ながら仕事をする)作業が多いため、今回意図的に度数を下げていますが、遠方が極端に見えづらくなるようなこともなく、日中は付けていることを忘れることが多いです。

メガネは目に優しいといわれていても、視界の問題やパットの違和感などがあるので、バイオトゥルーワンデーのほうが楽に感じます。

デイリーズアクアあたりだと夕方以降にレンズの違和感を感じることが増えてきますが、バイオトゥルーワンデーはあまりそういった感じを受けません。

ボシュロムによると着け始めの78%という含水率は16時間後も76.5%まで維持されているのに対して、アキュビューモイスト58%が51.5%くらいまで下がるようですので、この変化率が装用感の変化に影響していると思われます。

14時間くらい経過しても、エッジが気になるとか、目がゴロゴロするとかはありません。ほんとこのレンズは着けごこちが良いです。

見え方は他のレンズより弱い感じを受けます。
眼科で他のレンズと比較トライアルをすると、他のレンズで見えていた視力まで出にくく、やや矯正力は弱いのかなと。

ただ、これだけ含水率が大きいとレンズの形状を構成する中に含まれている水分の比率が相当になるので、多少の影響があるのかもしれません。

まぁ、それを打ち消すほど装用感が良いですし、実用上問題になるほど見えにくいということはないので、実力の高さが際立ちます。

私はVDT作業が多いので、意図的に度数を下げていることもあり、遠方の矯正力はそれほど期待していません。もちろん、遠くが見えにくいというわけでもなく、あくまでも比較してわかる程度でした。

シリコーンハイドロゲルが合わない人や、柔らかなつけ心地を求める人にとってはかなりおすすめなレンズになるのではないでしょうか。

その他


ボシュロムはバイオトゥルーワンデーを、HEMAを中心としたハイドロゲル素材の第一世代、シリコーンハイドロゲルによる第二世代に続く、第三世代のコンタクトレンズとしています。

ハイドロゲルの装用感の良さと、シリコーンハイドロゲルの高い酸素透過性の良いとこ取りをしていると。

最近では酸素透過性の高さによりシリコーンハイドロゲルが良いもので、それ以外の素材は従来型として一段劣ったものとして扱われる印象があります。

新製品が出ると、いかにも従来のものがだめなような印象を与え、かつ自分が得意とする部分を全面に押し出すマーケティングがされることが多いのですが、まさにシリコーンハイドロゲルはそんな感じで優秀さを強調されています。

シリコーンハイドロゲルは乾燥を防ぐために含水率を下げる方向にありますが、そうなると素材自体の硬さが目立ってしまい、含水率を意図的に下げていると思われるアルコンの02オプティクスのように、合わない人には全く合わないレンズになってしまいます。

酸素透過率は高いほうが良いとは言え、それによってレンズが硬くなり装用感が悪くなったり、瞳を傷つけるようなことが出てしまっては何が良いのかわかりません。

バイオトゥルーワンデーはシリコーンハイドロゲル一辺倒であった業界の流れを根本から覆すアプローチで作られたレンズであり、従来素材の改良版という見られ方をするのはメーカーとしても声を大にして異を唱えたいところでしょうね。

米国のバイオトゥルーのサイトではデイリーズアクアとアキュビューモイストが比較対象に挙げられていますが、このレンズの相手はどう見てもプロクリアワンデーですよね。

プロクリアワンデーと比較すると、含水率やDk/L値など数字的な部分は勝っています。
敢えてこれを比較対象に入れていないのは、プロクリアワンデーもかなり優秀な成績を上げているのだろうと邪推してしまいます。

私は海外のサイトから買うことも多いのですが、海外パッケージは国内パッケージとは異なり、小さいものも売っているようです。
(工場の違い、ということになるのでしょうか)


ブリスターパックの形は似ていますが、大きさが全然違います。右のサイズであれば、アキュビューと同程度の箱に収まります。

国内ではおよそ2,000円強から3,000円くらいの範囲で売られているようです。

基本スペック


販売名:ボシュロム バイオトゥルーワンデー
タイプ:1日使い捨て、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.6mm
含水率:78%
Dk値:42
Dk/L値:42 @-3.00D
中心厚:0.1mm @-3.00D
USAN:nesofilcon A
製造:Bausch & Lomb Ireland, Ltd.

ボシュロムの最新ワンデーレンズ。
メダリストが通販で販売されているのに対し、こちらは国内では対面販売オンリー。
生体模倣技術が採用され、着け始めから10時間以上経過後まで乾燥感を感じることが少なく、目の疲れも少ないレンズです。
メダリストとは異なり、バイオトゥルーワンデーはアイルランドの工場だけで作っているようです。
いいレンズだと思いますが、少々入手難というところでしょうか。

2016年10月20日木曜日

コンタクトレンズ屋さんと眼科

ワンデーアキュビューオアシスをトライアルしてきました。

短期の出張でコンタクトレンズを切らしてしまったため、近場のコンタクトレンズ屋さんで購入するついでに、興味のあったワンデーアキュビューオアシスも試してみました。

最初の感想は「でかい!」
もう目に入れるときに明らかに大きさが違うのがわかります。

とても大きなコンタクトレンズを目にかぶせるような感じ。

着け初めの装用感は恐ろしいほどに快適です。
着けた直後は何も着けていないのかと思うほどスムーズ。

ただ、トライアルではBC 9.0でしたので、単に緩いレンズのためエッジが気にならなかっただけかもしれません。
着けて30分もしないうちに、右目が違和感が出てきて、一瞬レンズが外れてしまったかと思うほどでした。

トライアルレンズを1日装用した時点では、夜になって下部のエッジ部分が気になってきて「値段の割にイマイチだなぁ〜」という感想でした。

今回、いつもと別の眼科に行ったのですが、以前モイストのときはBC 9.0だとずれてしまったと言っても、「ソフトコンタクトレンズはカーブは気にしないでも大丈夫」と断言してそのまま診察が終わりました。

レンズをした状態で目の動きをあまりきちんと見ているような気もせず、フィッティング適当っぽい感じでした。

統計的にはそうなのかもしれませんが、BC 9.0のときにイマイチレンズと思っていたモイストがBC 8.5にしたらまるで別物と言えるくらい良くなったという実感がありましたし、メーカーもわざわざ在庫リスク増やしてまで2種類用意しているくらいなので、BCを気にしないというのもどうかと。せめて「あなたの目の形ならBC 9.0のほうが近いはず。BC 8.5のほうが良い気がしても、キツめのレンズの弊害があるため、私はBC 9.0でしか処方箋を作らない」くらいの態度だと安心なのですが。

これだけコンタクトレンズの障害が多いのだから通販で買わないで眼科に来いと業界でキャンペーンしていても、1、2分診療でロクに確認もせず、9.0と8.5の比較もしないのでは定期検診以外受ける意味がありません。

ジョンソン・エンド・ジョンソンも眼科行け行けいうのであれば、きちんとフィッティングをしてほしいくらいの助言はしてほしいなと。トライアルレンズのBCが極端に偏って消費されるところには確認してほしいです。メーカーとしてせっかく2種類のBCを用意するという良心的な対応をしているのに、現場の医者がカーブのチェックをまるでしていないというのはどうなんでしょう。計測機械だけで解るのであれば、やっぱり販売と検診は分離してもいいのでは。
今回は「上見て〜」「下見て〜」などのレンズの動きをチェックするようなこともありませんでしたし。

コンタクトレンズの処方箋を目的に眼科に行ったところで、どうせフィッティングの違いまで見ていないのだから、ふだんは通販で買って、違和感が出たらすぐに、そうでなくても半年に一度位真面目に検査してくれる眼科に行くほうがよほど安心ですし、経済的だと思います。

ちなみに、眼科医はテキトーでしたが、検査員の若い女性の方は非常にていねいで、時間をかけて何度も視力検査のレンズを入れ替え、最適な度数を探す努力をしてくれました。右目と左目の微妙な違いや、度数をどこまで落とすとどうなるか、上げるとどうなるかということがとても良くわかり、いままでの度数よりも下げても影響が少なく、むしろよく見える(体調や環境もあるとはいえ、いままでやや過矯正気味?)ということもわかりました。これがプロの仕事だと思います。

視力は変わることもありますし、レンズによって見え方も変わるのでていねいに見てもらえただけでも診察代の価値ありますね。

こういうきちんと仕事をする人が、単位時間あたりの検査人数とかで評価されて、低い評価にならないか心配してしまいます。

とりあえず顧客を囲い込みたいコンタクトレンズ屋さんと、あまり儲からない仕事は手っ取り早く片付ける眼科の組み合わせは消費者にとっては最悪の組み合わせですね。
そういうレンズ屋に限って、使わなかった処方箋まで回収しようとしたりしますから。

全部の併設眼科がそうではないのでしょう。
ただ、大手のショップが紹介するところでコレですから、販売店も眼科とグルで設けているのかなと勘ぐってしまいます。

初回のレンズはどうしてもフィッティングを見てもらいたいので眼科に頼るしかありません。

やっぱり眼科はコンタクトレンズの売上にとらわれなく、かつ真面目な先生がいるところに限ると思います、はい。

2016年10月16日日曜日

エルコンワンデー レポート - L-CON 1DAY -

低価格なレンズとして有名なエルコンワンデー。

この立ち位置では第一人者という感じでしょうか。

率直な感想としては、いまさらグループIか、という印象です。
インターネットでコンタクトレンズの販売が激化しているいまとなっては同価格帯でもう少しスペックの高いレンズが乱立しているので、インパクトとしてはいまいちな気がします。

過去に回収騒ぎがあったり、おなじシンシアが発売するレンズにいちゃもん付けられたりと何かとよろしくない話題が多かったエルコンシリーズですが、最近は岡崎紗絵さんを起用してからイメージが格段に向上した感じです。

製造販売元は日本の企業であるシンシアですが、実際の製造は台湾の St. Shine Optical という会社です。

この St. Shine Optical はコンタクトレンズ製造の OEM 大手で、ハイテクで言うところの TSMC みたいな企業です。最近ではシリコーンハイドロゲルレンズも製造しているアジアの一大マニュファクチャーです。

日本ではシンシア以外にシードが一部の製品を製造委託しています。

パッケージ

デザインはとても好印象です。
過度にみずみずしさをアピールする古臭いデザインとは異なり、緑を基調としたポップなデザインは目を惹きます。

ブリスターパッケージもシンプルで格好いいです。

ただ、このブリスターパックは切り離して机に置くと不安定です。

他のブランドは平らな面に置いたときに安定するように工夫がされていますが、エルコンワンデーはグラグラしてしまいます。
左がエルコンワンデー。
この不安定さによって意外と開けにくかったりします。

箱はとてもコンパクトです。
アルコンのデイリーズアクアと比べると1cm以上小さいようです。

つけてみた感じ

あまりハイテクでないレンズなので大きな期待をせず(?)に着けてみたところ、思いの外装用感が良かったです。

若干コンタクトレンズを着けている感がするものの、付け始めから数時間は低含水率や酸素透過率の低さは気にならず、特に変わったこともないふつうのレンズという印象です。

半日ほど経過すると段階でやや違和感を感じることが多いです。
6時間を経過してくると、目の疲れが明らかに意識されるようになり外したい感が強くなります。
これは「酸素透過率が低い」という情報が長時間装用を避けるようにするという意識を与えているのだと思います。

わざわざそういうことを気にしながら着けるのも気づかれするので、何度か短時間使ってみてからあまり使わなくなりました。

その他


角膜に対する酸素の必要性が重視される風潮のいま、Dk/L値が11.3というのは少し厳しいのではないかと。
目に対する酸素供給は素材だけではなく、レンズのデザインによる涙の流れやレンズの動きにも影響されますが、さすがに数百円の違いで酸素透過率倍くらいのレンズが買えるのでイマイチ感が目立ってしまいます。

ところで、含水率が低いため乾燥しにくいような印象を与えていますが、これって本当なのでしょうか。
含水率が低いということは、単純にレンズに保持できる水分が少ないというだけで、蒸発のし易さ、水の吸い易さとは必ずしも連動しないような...

含水率が高くても、単位時間あたりの表面からの蒸発量が少なければ瞳の涙分を吸い上げにくいだろうし、逆にレンズに含まれている水分蒸発を保護する仕組みがなければ、たとえ低含水率でもレンズから水は蒸発し、その分瞳の涙液を吸ってしまうのではないかと思うのですが、やっぱり単純に含水率に比例するようなものなのでしょうか。

病院行くほどのレベルの人は、残された目の機能を考えるとシリコーンハイドロゲル使うべきではないかという感じですが、ごく短時間使うのであれば使い勝手の良いレンズかもしれません。

ランニングコストだけでいうなら、2ウィークのシリコーンハイドロゲルにしてAOセプトクリアケアあたりでメンテナンスしたほうが安価にドライアイ対策と酸素供給を両立できます。

どちらかというと、野球やサッカーの試合などスポーツのときだけ付けるとか、雨の日や夜間のドライブのためにいつもより度数を少しだけ高めにしたレンズが一時的に欲しい場合、そんなときに役立つレンズです。

ふだん2ウィーク中心の人が、紛失時等の予備用としてかばんにストックするにも良いかもしれません。コンタクトレンズを長時間装用する人ばかりでも無いと思いますので、ふだんは使わないが時として必要になるようなケースでは重宝するかなと。

短時間装用であれば瞳に与える影響も少ないことが予想され、そういったときに取り回しのし易いエルコンワンデーは使いやすいと思います。

全体としては少し厳しい感想になってしまいました。

このレンズ、もし1箱300円とかなら思いっきり「買い」なんですけどね。

朝の通勤時にはばっちりメイクで颯爽と出勤。会社に来たら外して捨てる。
会社ではブルーライト対応の度つきメガネで過ごして、帰りにまた新しいものを着けて寄り道デートなんてことが実現できますから。

短時間装用なら酸素透過率は多少低くても影響を抑えることができるし、とにかく安価ならつけたり外したりしてもお財布の負担も少ない。
人に見られるところではメガネをかけたくない。でも、仕事中は目の健康を考えてメガネもあり。なんて人にとってはライフスタイル変えるレンズになるんじゃないですかね?

基本スペック

販売名:エルコンワンデー
タイプ:ワンデー、終日装用
分類:グループI(非イオン性低含水)
DIA: 14.0mm
BC:8.7 mm(他に9.0mmの設定あり)
含水率:38.5%
Dk値:7.93
Dk/L値:11.3(-3.00D)
中心厚:0.07mm @-3.00D
製造:ST. SHINE Optical Co.,LTD(台湾)

製造販売元はシンシアという日本のメーカーですが、実際にはOEMですね。
旧世代のレンズなので今の販売価格は少し高いかな。
同じ価格帯でデイリーズアクアやメダリストワンデー買うことができるケースがありますし。

2016年9月24日土曜日

プロクリア ワンデー レポート - Proclear 1 day -

クーパービジョンの主力レンズの一つ、プロクリアワンデー。
装用感が良いと評判の高いレンズ。


いまでこそクーパービジョンのワンデーフラッグシップは「マイデー」という感じですが、角膜細胞をモデルにしたこのレンズは、登場時はかなり印象的でした。

クーパービジョンのホームページによると、「含水率が低下しにくい」ということと「汚れが付きにくい」ということがアピールポイントっぽいです。

後者はワンデーなのでよほどたんぱく質が出やすい人以外は気にするほどでもないかと。
むしろ、このレンズ、乾きにくいという点では確かに秀でていることが実感できます。

パッケージ


クーパービジョンはここ数年パッケージの刷新をして、洗練された外見になりました。
それまではいかにもみずみずしさをウリにした青色基調のデザインだったのが、暖色も含めたシンプルなデザインになりました。

箱の裏を見てみるとイギリス製のようです。
コンタクトレンズは税制上有利だといわれているアイルランド製が多い中で、英国製というのは結構珍しいかも。

開けるとこんな感じ。

クーパービジョンのパッケージは、開けるとなぜか左右に少しゆとりがあります。

ブリスターパックの重ね方の関係でしょうか。

それにしてもクーパービジョンのブリスターパッケージは開けにくいですね。接着の部分が強めについているようで、手が湿っていると滑ることもあり、はがすときにも変な形で切れることがあります。

つけてみた感じ


つけた瞬間から違いがわかります。
目にすっと入っていくような感覚で、違和感がほとんどありません。

違和感を感じるとすれば表裏が逆になっているときくらいで、着けた瞬間から着けていることを意識しないくらいの一体感を感じます。
厚めのレンズでありながら、それを感じないところはさすが装用感に定評のあるクーパービジョンです。

視界もクリアで、クーパービジョンのレンズと私の目の相性は良いようです。

含水率60%と高めなためウェットな感じがします。
驚くのは長時間着けていても乾燥感をほとんど感じないこと。
12時間たってもほとんど蒸発せずつけた時の水分を保持するという触れ込みは伊達ではありません。

このレンズは「装用中にごろごろ感やドライアイの症状を感じることを軽減する」といううたい文句を掲げることを、FDA(米国の厚生労働省みたいな感じ)から認められています。

その触れ込み通り多くのユーザの声を見ても、含水率が高いのに乾燥しにくいという評価が多い感じです。

人間の角膜をモデルにした生体模倣技術が取り入れられていることと、独自の保水成分の働きが効いているのかと思われます。

12時間以上VDT作業をしていても乾燥感はありません。(もともと私はドライアイ傾向ではないですが)
感想をしているという感じがほとんどないので、確かにこれはいい感じだわと実感できます。

ただ、時間が長くなれば長くなるほど視力が出にくくなる気がしています。

やはり酸素透過率が低いため、目がだんだんと疲れてくるのでしょうか...
平均的に14時間くらいつけているのですが、コンタクトレンズを外した後に、心なしか目がほっとした感じになっているような気分になります。

外した後になぜか目薬を差したくなります。

その他

クーパービジョンからは満を持してシリコーンハイドロゲル素材の「マイデイ」が出ましたので、今後はそちらに主力が移る感じもしています。

プロクリアーワンデーはDk/L値が22.8と決して高い数字ではありません。むしろ従来素材では後発の割には低い値です。

瞳への酸素供給はDk/L値だけでは決まらないとは言うものの、ここまで明らかに低いとドライアイなどでこのレンズ以外瞳が持たないというのでなければ、いまとなっては万人が積極的に使うレンズなのかなという感じです。

体感的には長時間つけていても目の疲れを感じません。エッジの処理からも想像するに涙液の交換がある程度他の使い捨てレンズより良い可能性があります。

外すまでは疲れを感じないため、ややもすると長時間装用になりがちです。酸素透過率はそれほど高くないので会社に行く直前に着けて、帰りには外すなんて運用であれば良いかもしれません。

このレンズはグループIIなので、他のグループIVのレンズよりは汚れに強いことも予想され、それが良い装用感につながっているのかもしれません。汚れがつきにくいほど、違和感が減りますので。

基本スペック

販売名:プロクリア ワンデー
タイプ:1日使い捨て、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.7mm
含水率:60%
Dk値:20.5
Dk/L値:22.8 @-3.00D
中心厚:0.9mm @-3.00D
USAN:omafilcon A
製造:CooperVision Manufacturing Limited/U.K.(英国)、CooperVision Caribbean Corp./Puerto Rico (U.S.A.)(米国)

クーパービジョンの従来型素材のフラッグシップ。
いろいろな比較サイトでもトップクラスの評価のレンズ。
合う人は多いと思います。

クーパービジョンは国内では通信販売を制限しているので、眼科併設のところか海外通販でないと手に入らないという入手の困難さがありますが、コンタクトレンズによる障害を防ぐという会社の方針はまっとうなのかなと。




2016年9月17日土曜日

プロクリアとバイオトゥルー ワンデー比較

コンタクトレンズの着け心地を改善する一つの方法として、角膜に似せることで異物感を減らそうというアプローチがあります。

この、角膜の作りに似せた「生体模倣」をウリにしているレンズとして有名なものに次の二つがあります。

クーパービジョンの「プロクリアワンデー」とボシュロムの「バイオトゥルーワンデー」

まずはプロクリアーワンデー。

クーパービジョンのホームページにあるプロクリアワンデーの説明によると
瞳の角膜細胞をモデルにしたPCハイドロゲルは、 PCテクノロジーによって生まれた次世代のコンタクト レンズ素材です。 生体模倣の技術により、人の体になじみやすく 汚れにくいため、瞳の健康を妨げない環境を提供します。 さらに、ヒアルロン酸の約2倍の高い保湿力を持つ 保水成分MPC※の配合により、コンタクトレンズを乾燥から守ります。
と書いてあります。

一方、ソフトコンタクトレンズのパイオニアであるボシュロムが発売しているバイオトゥルーワンデー。

ボシュロムのサイトには
 自然界の優れた機能や性質を模倣した技術「バイオ・インスピレーション」。
この技術を応用して生まれたのが、独自素材「ハイパージェルTM」です。
ヒトの眼に本来備わっている機能を模倣することで、従来のレンズの欠点を最小限に抑えることに成功しました。
だそうです。高含水率なのに乾燥しにくいということもウリにしています。


プロクリアーワンデーの登場は結構インパクトがあって、ドライアイに効果があるレンズとのFDAによるお墨付きもあってか、クーパービジョンの技術力を広く知らしめる画期的なレンズでした。
Dk値20.5、Dk/L値22.8(-3.00D)とレンズデータだけ見るとお世辞にも新素材感を感じることのないレンズなのに、着け心地の評価が高く、クーパービジョンの主力商品です。クーパービジョン社の発表では12時間を超えても潤いが続く(96% hydration for 12 hours or more)とのことです。


後発のバイオトゥルーワンデーはそのあたり改善されているようで、角膜と同等の含水率78%と非常に高い数字によるDk/L値42(-3.00D)は非シリコーンハイドロゲルの中ではトップクラス。
ボシュロムの資料によるとDk値も42とあるので、厚みが0.1mmということで、意外と厚いレンズです。
16時間以上レンズが乾燥しない(maintains 98% of its moisture)そうな。


果たしてどちらが(自分にとって)優れたレンズなのか。
両方トライしてみました。
片目プロクリア、もう片目はバイオトゥルーを交合に5日間ほどトライしてみました。


着けた瞬間の着け心地という面ではバイオトゥルーのほうがやや良い感じでした。

眼科でトライアルして、正確に視力を測定したところ、ややプロクリアのほうがシャープにものが見えます。

最初にプロクリア、次にバイオトゥルーの順でトライアルしたところ、プロクリアでははっきり見えていた度数でも、バイオトゥルーだとややぼやける感じです。

その後、長時間の装用で比べてみても、経過1時間くらいはどちらかというとやはりプロクリアのほうがシャープにものが見えています。

つけ心地は、装用後30分もたつとどちらも着けていることを忘れるくらいで、甲乙つけがたく、フォーカスデイリーズアクアよりはどちらも確実に上回っています。

VDT以外(外出や休日の使用)では湿度の高い時期(9月)にトライしたせいか、どちらも感想を感じるようなケースは見られませんでした。違うことに集中しているときに、コンタクトレンズの違和感がそれを邪魔するなんてことはなく、ずれたりゴロゴロしたりするようなことも一切ないです。
湿度の高い室外から空調の聞いたドライな部屋に入った後などはどちらのレンズもやや乾燥気味になりますが、プロクリアのほうが早めに回復するケースが多かったです。

12時間以上装用してもどちらも乾きを感じることがほとんどなく、保水という面では評判通りです。
この辺りになるとバイオトゥルーはややピントが合いにくくなることが多い気がします。ひょっとすると目との相性かもしれません。
私の場合、アキュビューではBC8.5のほうが合うので(眼科でフィッティングした結果)、どちらかというとバイオトゥルーのほうが動きやすいという可能性があります。

個人的にはボシュロムのレンズとはあまり相性が良くないのかなぁという感じも。

両方のレンズともに一日を通じてレンズのエッジが気になるようなこともほとんどなく、長時間つけていても疲れが少ないです。

1時間半くらいうたたねしてしまったことがありますが、両方ともにこの程度では全く瞳に影響がありませんでした。他のコンタクトレンズだと起きた瞬間にかなり目が締め付けられる気がするのとは大きな違いです。

装用時点ではほぼ互角で気持ちプロクリアという感じでした。


で、終わるかと思ったのですが、レンズを外した際にはっきりとした違いがありました。
間違いなくバイオトゥルーのほうが外した後の違和感が少ないです。

コンタクトレンズをする場合、両眼ともに同じレンズをすることがふつうなので気づきにくいですが、左右で違うレンズを使うと外した後の違いが判ることがあります。
バイオトゥルーはより自然な感じなのが、プロクリアはバイオトゥルーよりもBCが緩いので締め付けの差というよりは酸素透過率やレンズ形状による目の負担の差が出ている感じです。


全体的な価格と着け心地その他を考えると、現時点ではバイオトゥルーワンデーに軍配を上げます。

バイオトゥルーワンデーは非シリコーンハイドロゲルのなかではトップクラスの酸素透過率を誇り、含水率も高く装用感もよいです。おまけに乾燥しにくいと従来素材の欠点を高いレベルで解決しているレンズです。

角膜への酸素供給量は素材の透過率だけでは測れないといわれていても、素材自体がそれなりに酸素を通すほうが安心です。

通販系ではあまり売られていませんが、街のコンタクトレンズやさんでは結構取り扱いがあると思いますので、とりあえず最初は最寄りの眼科でトライアルしてみて、合うようであれば通販なども使ってもよいかもしれません。

2016年9月9日金曜日

ウェイブワンデー レポート - WAVE 1DAY -

「コンタクトレンズ」と検索すると必ず上位に広告として表示されるレンズアップル。

このレンズアップルを展開する株式会社パレンテが商品開発したワンデーレンズがこの「ウェイブワンデー」

WAVE とは WE + HAVE からの造語だそうです。

扱いはほぼパレンテさん系列だけのプライベートブランドですが、パレンテ系列のサイトは露出度が高いので最近あちこちで見るような気もしてきました。

非イオン性低含水レンズ(グループI)といういまとなってやや旧式っぽさを感じるレンズですが、その実力はいかがなものでしょうか。

パッケージ


パッケージは低含水にしてはみずみずしさをイメージしたもの。
低含水による「乾きにくさ」≒「みずみずしい」というところでしょうか。

ブリスターパッケージはシンプルです。

このレンズ、どこかで見覚えがあるような...
どうもスペック的にはエルコンワンデーエクシードと同じではないかと。

Dk/L値、含水率、BCやDIA、薄型非球面など、スペックやうたい文句がほぼ同じ。製造元も同じ。
ブリスターパッケージも色違いくらいでほぼ同じ。
画像はエルコンワンデーと。
印字の部分も全く同じです。

国内通販では1,700円くらいで販売されているエルコンワンデーエクシード相当のレンズが、エルコンワンデーより安い。お買い得なレンズですね。


つけてみた感想


薄いわりにはしっかりとしたレンズでしたので、少し硬いのかなぁと思いましたが、着けた直後の感じは、想像以上に良いです。

目にすっと入り込むような感じで、あまり気になる部分がありません。
保存液もそれほどぬるぬるしているわけでもないのに、つけ心地は良好です。

ただ、5分もすると「レンズつけてるなー」という感じがしてきます。

3時間くらいVDTし続けていると、乾燥というわけではないですが、やはりレンズをつけているという感覚が強くなってきます。
この「コンタクトレンズを着けている感覚」は終日続きます。
やはり、瞳が酸素を欲しがっているということでしょうか。

まぁ、こんな感じという程度で外したくなくなるほどでもありません。乾燥感についても、私自身が特段乾燥を感じやすいタイプではないため、明らかに高含水レンズより有利であるというほどでもありませんでした。

さすがに10時間を経過するころになると、最近のバイオトゥルーやプロクリアと比較すると疲れを感じます。違和感というか単純に疲れてくる感じです。
エッジが気になるというタイプではなく、むしろ着けている感覚は減ってくるような感覚でありながら、目全体が疲れてきます。

おそらくこのレンズをつけたまま寝てしまうなんてことになると、起きた瞬間目が開かないのではないかと。

一日の最後、このレンズは外しやすいことに気づきます。
含水率が低くて安定しているせいなのか、目に貼り付くようなことはありません。

ウェイブワンデーの公式ホームページでは比較的評価が高いコメントが載っています。
まぁ、自社発表なのである程度差しい引いて考えるにしても、普段使いとして気になるほどのレンズではないという印象です。

もう少し価格競争力が高くないと、なかなか定番レンズにならないかな。
後継モデルのウェイブワンデーエアスリムは製品そのもののスペックを高めてきていますので、どのくらい変わっているのか気になるところです。


まとめ


やはり、Dk/L値15.9というのは少し厳しい感じです。
明らかに目が疲れているということがわかります。

酸素供給はDk/L値だけではなく、レンズに含まれる水分を通してということになるのでしょうが、レンズの表面積に対して含んでいる水分も少ないので、その期待も少し薄い。
長時間の装用はちょっと... というところです。

ただ、自転車や原付などを乗るような人は低含水の乾きにくさは大きなアドバンテージになりそうです。

また、ドライアイ気味の人がスポーツをする時など目薬を頻繁に差すことが難しい環境にいる場合なども有利なレンズです。

非球面の形状、薄めの仕上げで短時間での装用感は決して悪くなく、これはこれで一つの方向性だと思えばシーンによってはいいレンズではないでしょうか。

長時間のVDT作業が多く、ドライアイでもない私はどちらかというと高含水レンズのほうが好きです。
かなり価格も頑張っているとは思いますが、デイリーズアクアも100円差くらいで買うことができるのでどうしてもそちらを買ってしまいます。

冒頭にも書きましたが、ウェイブワンデーはリニューアルされています。
後継モデルは明らかにスペックが改善されているので、折を見てトライしてみようと思います。


基本スペック


販売名:ウェイブワンデー
タイプ:ワンデー、終日装用
分類:グループI(非イオン性低含水)
DIA: 14.0mm
BC:8.7 mm
含水率:38.5%
Dk値:7.93
Dk/L値:15.9(-3.00D)
中心厚:0.05mm @-3.00D
製造:ST. SHINE Optical Co.,LTD(台湾)

販売はパレンテ、製造販売元はシンシア、製造はセントシャインといろいろコラボしているレンズです。
エルコンワンデーエクシード相当のレンズが、国内最安価格帯で購入できます。

2016年8月24日水曜日

酸素透過率(Dk/L値)について

コンタクトレンズの性能を表す一つの指標 Dk/L値。

人間の瞳(角膜)には血管がなくて、大気から直接酸素を吸収しているため、黒目全体を覆ってしまうコンタクトレンズがどれだけ酸素を通すというかはそれなりに重要視されています。

酸素を通す指標は、素材そのものがどれだけ酸素を通すかというDk値(酸素透過係数)と、そのDk値をレンズの厚さで割ったDk/L値があります。

酸素をよく通す素材でも厚くなると通りが悪くなるということだそうです。
逆に言えば、酸素の通りがちょっとだけ悪い素材でも、薄く仕上げることができればそれなりに瞳には酸素が届くということにもなります。

で、このDk/L値はどのくらいあればよいのか、ということになると

広く知られている1984年の Holden and Mertz によれば

終日装用なら DK/t値は 24
連続装用なら DK/t値は 87
が minimum acceptable (受け入れられる最低)だそうです。

また、その後に発表された1999年の Harvitt and Bonanno は
終日装用なら DK/t値は 35
連続装用なら DK/t値は 125
が角膜が酸素不足にならないために必要な値としています。

後者までいくと、ほとんどの従来素材はアウトですね。

角膜への酸素供給はほとんどがレンズに含まれる水分や涙を介して行われるので、レンズの形状によって涙液交換がスムーズだったりすると数字以上の効果があったりします。そもそもDk/L値自体がメーカーの独自計測なので比較にならないとかいう意見もあるので鵜呑みにするのもどうかという意見もあります。

ただ、数字がいいほうがいい気もしますし、明らかにDk/L値が劣るグループIのレンズは個人的には長時間装用したくないという気もします。

まぁ、いくら目に酸素を届けても朝食抜いていたり、お酒飲んだりタバコ吸ったりしているほうがよほど悪影響ではあると思うので、気分と程度問題であるような気がしないでもないです。


僕が自分の娘(自分ではなく)にコンタクトレンズを選ぶとしたら、中学生から高校生くらいまでであれば「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」を選びます。
経済的には2ウィークのほうが良いのですが、お手入れをきちんとしないことが想像できるので、やはりワンデーにします。
また、成長期は眠くなることもありついついウトウトしてそのまま寝てしまうなんてこともあるので、従来素材よりはシリコーンハイドロゲルのほうが良いです。

1か月1,000円程度の差がでるかもしれませんが、親として子どもの幸せを願い、自分のお小遣いを減らしてでもこれからの長い人生で必要な視力を損なったり、ドライアイで悩まされるようなことは避けたいと考えます。

もちろん、そう考えると眼鏡がベストなわけですが、学生生活で眼鏡をするより裸眼に近いコンタクトのほうがより活動的に過ごせるならそこは支援したいなと思うのです。

合わないコンタクトをし続けた結果、レーシックをしたいとか言い出さないようにするという予防でもあります。

年齢が上がるに連れお手入れができるかどうかの確認も含めて、何度かは2ウィークにチャレンジさせ、習慣付くようであれば2ウィークのシリコーンハイドロゲルタイプでも良いかなと考えています。

2016年8月8日月曜日

ボシュロム メダリスト ワンデープラス レポート - Medalist Oneday Plus -

ボシュロムの定番ワンデー「メダリストワンデープラス」
海外では「SofLens daily disposable」という名前で販売されています。ちなみに海外ではやっとシリコーンハイドロゲルを出し始めたっぽいですが、国内では品ぞろえ的にもやる気的にも他のメーカーに負けている気がしてなりません。


パッケージ

国内専用のパッケージ。
ボシュロムはブリスターパックが大きいので、必然的に箱も大きくなっています。箱が大きいことによるメリットはあまりないので、もう少し小さいほうが個人的にはいいのですが。
同じ角度からアキュビューの箱と比べてみました。高さにかなり差があることがわかります。
開けてみるとこんな感じです。
いろんな意味でごついのですが、なぜか添付文書だけは他のメーカーより小ぶりです。

ボシュロムのブリスターパッケージは、開けにくいしデカい形状の割にはレンズが入っている部分はさほど大きくもなく、むしろ深くて取りにくい気がします。
おそらくしっかりとしたつくりをしようというこだわりがこの結果につながっているのでしょうけど、正直お客さんはそれを望んでいないような...

つけてみた感じ

最初の印象としては「視力が出にくいなぁー」というところでした。
どうも片目だけ視力の矯正が弱い感じがして、最初はレンズが入っていないのではないかと思ってしまうほどでした。

一方で目に入れた直後の装用感はとても良くて、エッジが気になるようなこともなく、目と自然に一体化するような感じです。デイリーズアクアあたりと比べると、圧倒的に装用感が良いです。ときどきつけていることを忘れるくらい。

含水率が高いレンズなので、長時間装用時の乾燥からくる疲れた感じを予想しましたが、あまり変化もなく、目が疲れにくいレンズでした。
一度レンズをしたままうたた寝してしまったことがありましたが、デイリーズアクアやアキュビューモイストあたりと比較して圧倒的に目に対する負荷が少ないというのが実感です。

フィット感は良い気がしますが、何かがあっていないのか、一日のうちで何度か視力が出にくくなっていると感じることがあります。片目だけにこの症状が起きるととても違和感を感じるため、すぐ気が付きます。車の運転などをする場合はほかのレンズよりも一つきつめになるのではないかと。しかも、同じ側だけが出にくいのではなく、時には右目、時には左目が出にくい感じがして、見え方にやや違和感を感じることが多いです。この辺りは眼科で要相談というところでしょうか。

逆にばっちりあっているようなときはものすごく遠くまで鮮明に見えて、「おぉ、これがHDか!」と思う瞬間が結構あります。視力が出るのか出ないのかよくわかりません。時間でみればよく見える時間が圧倒的に長いのは間違いありませんが。

装用感以前にこの視力が安定しないという印象が強く残ってしまい、個人的には値段を考えると常用はないかなぁと。
雨の日など湿度高めの日はこの状態は出ないのでコンタクト表面の水分によるものなのかもしれません。

ただ、このレンズはつけている間にずれたり折れたりということは一度もないので、その点はとても優れたレンズであるという印象です。今では結構安価に手に入れることができるレンズですが、この品質の安定感はさすがだなと。

その他

ボシュロム以外の各社はシリコーンハイドロゲルのワンデーをどんどん出しています。
ボシュロムにも1か月(?)のシリコーンハイドロゲル「Bausch+Lomb ULTRA」がありますので、今後シリコーンハイドロゲルワンデーにも進出してくるかもしれません。

いまのところはこのメダリストとバイオトゥルーの二枚看板でシリコーンハイドロゲル以外の需要を取りに来ているというところでしょうか。

このレンズはDk値が22と、やはり最新のレンズと比べると酸素透過率が悪いことが気になります。屈折度数が大きい人はやっぱりシリコーンハイドロゲルにしたほうが良いのかもしれません。ボシュロムはせっかくバイオトゥルー出しているのに、いまだにメダリストのほうが目立ちますね。

このレンズは高含水でありながらも、非イオン性のグループIIなので、レンズが汚れにくいというメリットがあります。これはデイリーズアクアやアキュビューモイストに対するアドバンテージです。
個人的には意識されるほどの違いはないという印象ですが、目やにが多い人や職場環境によって決定的な違いが出る可能性もあります。

逆を言えば、このレンズで視力が出にくいなどの問題がなければ、とりあえず非イオン性というメリットを享受するために選ぶという選び方もありなのではないかと。

基本スペック

販売名:ボシュロム メダリスト ワンデープラス
タイプ:1日使い捨て、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.6mm
含水率:59%
Dk値:22
Dk/L値:- @-3.00D
中心厚:0.9mm @-3.00D
USAN:hilafilcon B
製造:Bausch & Lomb Scotland, Ltd.、Bausch & Lomb Ireland, Ltd.

ボシュロムの定番レンズ。
あまり話題に出ることもなく、最近はレニューなどのケア用品に力を入れている感じもしないでもないボシュロム製品。
お堅い会社の風土なのか、工業製品的な優秀さを売りにしているが、ユーザーは「潤い感」だとか「装用感」といった感性に訴える商品に惹かれているっぽい気がしないでもない。
レニューの売り方みたいにレンズも売ればよいのに。

2016年6月11日土曜日

ワンデーアキュビューモイスト レポート - 1DAY ACUVUE MOIST -

ジョンソンアンドジョンソンの定番ワンデー、ワンデーアキュビューモイスト (1-DAY ACUVUE MOIST)。

コンタクトレンズ界の「宅急便」「バンドエイド」みたいな、ある意味多くの人に訴求できているブランドです。コンタクトレンズとして一つの標準ともいえるレンズで、シリコーンハイドロゲルではない従来のHEMA素材としては一つの完成形といった印象です。


おそらく国内で最も売れている従来素材レンズです。

従来のワンデーアキュビューでよく言われた乾燥感を低減するため、ラクリオンテクノロジーと呼ばれる技術で潤い感を強化しています。

表面の滑らかさ度合に関してはジョンソンエンドジョンソンのサイトによればデイリーズアクアよりも上回り、装用感が良いことをアピールしています。

パッケージ


アキュビューシリーズは青色をベースにしたシンプルなパッケージでシリーズ間でおおむね統一された印象です。MOISTの文字にうるおい感を出しているものと思われます。さり気なく右下に UV BLOCKINGの文字が。

国内パッケージは添付文書付きでラッピングされているため、その手の情報は開けてみるまで分かりません。

パッケージのデザイナーからするとどうなんでしょう、この扱い。

今回はアイルランド製のようです。
国内で手に入れた時も、海外通販で買った時も、いまのところアイルランド製が届いています。

ブリスターパッケージは真四角のカタマリ。
ジョンソンアンドジョンソン以外はブリスター形状に工夫がされていることが多いのですが、ここは相変わらずの四角形状で、切り離すときにフタ部分のアルミがうまく分かれないことがあったりします。
ジョンソンアンドジョンソンは全体的には保守的でもあり、良くも悪くもアメリカっぽい雰囲気を感じさせられます。

つけてみた感じ


今回はBC 8.5にしています。
実は以前このアキュビューモイストのBC9.0を使ったことがあるのですが、どうも目に違和感を感じたり目の中で折れてしまうことなどがあったため、眼科医と相談してBC 8.5にしました。

以前BC9.0で使っていたときは、ずれるし折れるし外れるしで最低のレンズだと思っていました。
ところがこれ、単にカーブがあっていなかったのかカーブがあっていたなら相性が悪かったのか、とにかくリピートするほどのものでもないという印象でした。
(ちなみに、いわゆるコンタクト眼科で検査してもらっての処方です)

その後、アルコンやクーパービジョンのレンズを使うと快適だったので、ひょっとするとカーブが少し小さくても大丈夫なのではないかという事に気づき、一般の眼科で「眼鏡・コンタクト外来」というものがあるところで見てもらい、BC8.5のほうが良いのではないかという結論になりました。

結論として、きわめて快適に使うことができています。

よくフィッティングがどうのとか言われますが、一日何人も見ているコンタクト眼科だとやればよしで手を抜くところもあるのかもしれません。再診になると儲けも大して出ないでしょうから、患者が文句言わなければそのままなんかと。(全部がそうではないと信じますけど)

コンタクトレンズを通販で買う場合はときどき近隣の眼科で診察してもらうことが必須だと考えています。
手軽に買うことができる反面、定期的な検査を受けないために、気がついたら失明寸前では洒落になりません。初診なら検診だけであれば1,500円でお釣りが来ます。眼科によっては1,000円ちょっとです。再診なら400円くらいです。これを高いと見るかは目のリスクを考慮して決めたほうが良いです。
検査とコンタクトレンズ処方箋発行は別に考えて、一般の顧客も扱う眼科で診てもらうのもひとつの方法です。

レンズそのものは薄くてあまりコシも無いため、指の上でややフニャります。
指にくっついたり丸まったりで、やや扱いづらいです。
アキュビューの特徴である「123マーク」によって表裏の判別はしやすいです。安心して装用できます。

装用直後の感じとしては、柔らかいレンズのため全体的な装用感は良いです。
個人的には最初の数分くらいは左目だけ明らかにレンズを入れているという違和感を感じましたが、気がついたら忘れていたという程度で、ある程度時間が経過すると目に合う感じです。

moistの名前のとおり、夕方になっても乾燥を感じません。日中は目薬いらずです。
デイリーズアクアで感じたレンズ下方よりのエッジに対する違和感もなく、つけ心地はいい感じです。概して疲れにくく、乾きにくいレンズです。

12時間くらい経過するとやや乾燥感が出てきます。
ただ、レンズのエッジを感じるようなことはなく、ここはデイリーズアクアに優っています。

BCの違いはかなり影響が大きいです。
眼科で処方箋を発行してもらう時、何も考えていないお医者さんはBC 9.0を発行してくるケースが多いような気がします。これまでかかったすべての眼科(コンタクト屋併設)ではJ&Jのレンズはすべて9.0でした。(モイストもトゥルーアイも)
今回は独立した眼科のメガネ・コンタクト外来みたいな日に行ってみたところ、BC 9.0とBC 8.5では8.5のほうが合うという結論になりました。
事実、8.5にしてみたところ以前からのアキュビューモイストの印象がガラッと変わりました。

外しにくさはデイリーズアクアを難なく外せる人ならば問題ないかと思います。
アキュビューモイストもやや滑るとは思いますが、デイリーズアクアを外しにくいという記述はよく見かけるものの、モイストが外しにくいという意見はあまりみないので個人的な得手不得手かも知れません。

その他


Dk値は従来型レンズなので高くありません。とは言え、レンズ厚が薄めのため、Dk/L値が33.3と酸素は比較的通りやすい印象です。

J&JのワンデーはBC 9.0とBC 8.5が用意されています。(一部は除外)
なんとなく9.0を選ぶ人が多い気がしますが、私はBC 8.5のほうが圧倒的に合いました。
眼科医でも緩めのカーブ寄りにするかキツ目のカーブ寄りにするかは好みがあるのでしょうし、実際の目のカーブとの相性もあり一概には言えないものの、BCはやや小さめのほうが装用感が良いことが多いです。

アルコンのフォーカスデイリーズシリーズでもBC 8.6のアクアのほうが、BC 8.7のアクアコンフォートプラスよりも合うような感じがしています。(このくらいの差は気分の問題かも)
目のカーブに近いほうが装用感もよく、エッジで目を傷つけるリスクも少ないしで、眼科できちんと測ってもらったうえで結論を出したいですね。

1度だけ目のカーブに合わないロットだったのか形が不良だったのか、片目(左目)だけ瞬きのたびに少しずれる感じがするものがありました。光にあてて反射させるとごく小さい空胞部分があるようで、これが違和感の原因のような気がしています。ほかのレンズではこういうことが無かったので、もう一度出るようであればアキュビューモイストとの相性かもしれません。

アキュビューモイストとトゥルーアイは今では国内のサイトから処方箋なしで買うことができます。すぐ届くので「あ、コンタクトレンズ切れてた」という事になっても手に入れやすいのがありがたいです。

もっとも、この辺りになってくるとクーポン割引などを使うと店頭販売と価格差がなくなってくるので、検診ついでに街のコンタクト屋さんで購入するというのもありかもしれません。

基本スペック


販売名:ワンデー アキュビュー モイスト
タイプ:1日交換、終日装用
分類:グループIV(イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.5mm
含水率:58%
Dk値:28
Dk/L値:33.3 @-3.00D
中心厚:0.84mm @-3.00D
USAN:etafilcon A
製造:Johnson & Johnson Vision Care, Inc.(米国)または Johnson & Johnson Vision Care(Ireland)(アイルランド)

世界初のワンデーコンタクトレンズ「1DAY ACUVUE」の改良版。
ラクリオンテクノロジーによって、保湿成分をレンズ内に閉じ込めていて終日潤いをキープ。UVカット機能もあり人気の高いレンズ。
あまりコンタクトレンズに興味が無い人でも「アキュビュー」は知られていて、ワンデーコンタクトレンズにおけるひとつのスタンダード。

最近はおなじジョンソン&ジョンソンのトゥルーアイに押されている感がありますが、シリコーンではない従来の素材では人気の高いレンズです。

2016年6月6日月曜日

フォーカスデイリーズアクア レポート - Focus DAILIES AQUA -

日本アルコンから発売されている「フォーカス デイリーズ アクア」(Focus DAILIES AQUA)。

通販でも、店頭でもとにかく入手しやすいコンタクトレンズで、むしろ扱っていない業者さんあるのかなというくらいです。

国内ではジョンソン・エンド・ジョンソンのアキュビューシリーズの後塵を拝しているようですが、装用感や見え方は大差がないように感じます。

価格も1,200円くらいで買えたりすることがある安価な部類ということもあり、長年コンタクト生活を送っている人であれば一回は使ったことがあるのではないかと。

2005年にそれまでのデイリーズを改良して発売された製品です。
前身のデイリーズは1998年から販売されていて、その製品と基本的な素材や技術は変わっていないそうですから、もう20年近く前の技術で作られているレンズです。

流石に生産機械は入れ替えているでしょうが、設計などの初期費用についてはすでに償却できているということも安価に提供できる一因でしょうか。

僕は好きです、このレンズ。

安くてまさに「使い捨て」レンズという感じですし、装用感も悪くない。
グループIIの非イオン製レンズはイオン性のレンズに比べ汚れのつき具合が1/300なんだとか。

「つるつるして外しにくい」という声もちらほら見かけますが、慣れればそれほど外しにくいとも感じません。

そんなにつるつるするくらい表面が滑らかという事は瞼に与える負担も少ないのではないかと前向きに考えています。

パッケージ


商品名に「アクア」がついていることもあり、みずみずしい青色パッケージ。
これは日本国内のパッケージです。まぁ、目立ちますよね。

デイリーズアクアの名前のとおり、「水」を意識したストレートなパッケージです。
アルコン(旧チバビジョン)は濃いブルーから緑がかったブルーが好きですね。

国内で購入すると添付文書がラミネートされています。


せっかくパッケージでデザインしているのに、売り場ではあまり意味ない感じになってしまいますね。

ちなみに、同じ製品が海外では単に「デイリーズ」として売られていて、同じレンズが白い箱に入って売られています。

なぜかこの白い箱の海外パッケージにも日本向けの説明と承認番号の記載があります。
デイリーズアクアコンフォートプラスは海外と共通しているパッケージですので、デイリーズもこのデザインを使うこともできるようにデザインしたのでしょうか。


国内の正規流通品は外箱が日本専用と思われ、蓋をあけると日本人向けに細かな説明が書かれたりしています。

送料などを考えると国内サイトから購入するほうが良い気もしています。

それにしても、なぜコンタクトレンズの箱は開けにくいのでしょうか。
たいていは少し破れます。

ブリスターパッケージはイタリアデザインの巨匠、ミケーレ・デルッキによるものとか。左右非対称の独自のパッケージで、開けやすい方だと思います。

アルコンのブリスターパッケージは切り離しやすく開けやすい秀逸なデザインです。
コンタクトレンズが入っている部分も完全な円形ではなく、切り離しやすさ、取りやすさを考慮しているものと思われます。

添付文書によるとドイツ製とシンガポール製があるようですが、私のレンズはシンガポール製でした。

つけてみた感じ


デイリーズアクアはそれほど薄いレンズではないので、取り出す際の取り扱いが楽です。

ただ、このレンズはときどき表裏が逆になっていることもあるので注意が必要です。
おまけに表裏の判断がしにくく、アキュビューのような印もついていないので初めての人には厳しいところがあるかもしれません。

そういえば、チバビジョンから出ていた以前のデイリーズアクアの保存液は独特な酸っぱい感じの匂いがしました。最近購入したアルコンブランドではそれが感じられません。何か変更があったのでしょうか。

着けてみるとワンデーコンタクトレンズの中では小さめのDIAのためなのか、エッジもあまり気にならず、着け始めの装用感は軽い感じがします。

1時間も経過すると着けていることを意識しなくなる時もあるくらいです。8時間くらいまではほとんど違和感を感じることがありません。
体感的にはエッジの処理がスムーズで目の中で違和感を感じるシーンが少ないです。

レンズ厚0.1mmと使い捨てコンタクトレンズとしては厚めの部類ではありますが、柔らかいレンズのためか厚さを感じるようなことは無く、むしろ数字を知るまでは薄いレンズかと思っていたくらいです。

12時間くらい経つと、乾く感じは少ないものの、コンタクトを着けている感が感じられるようになり、少し目が疲れるます。日によっては左目でいえば向かって時計の4時から6時あたりのエッジが強く感じられます。一日を通して曇るような感じは受けません。

オフィスワーク中心の仕事をしているので部屋は乾燥しているはずですが、含水率高めの割には乾燥しない感じで、乾燥度合いは上位バージョンの「AquaComfort PLUS」との違いが判らないくらいです。(そもそもの素材は一緒だしネ)
DIAも小さいし、カーブもこちらのほうがきついのでズレにくいという利点があります。

このレンズ、外しにくいということで有名ですが個人的にはそれほどかなとも思っています。

滑るには滑るにしても、一度コツをつかんだら簡単に外すことができるので、そのコツをつかむかどうかかなと。指の腹で両サイド寄りをちょっと押すような感じで掴むと「スポッ」という感じで目から外れます。

最近は目に優しい気がするのでコンタクトを外す前に目薬をさしています。潤った状態だと少し滑りますが取り外しができないということも無いです。

Dk値26という数字については、シリコーンハイドロゲルの100オーバーに見慣れてしまった今となってはイマイチ感が出ていますが、20以上あればDk/Lについては大きな問題にならないという意見もあります。

コンタクトレンズを着けたまま寝てしまうなんてことがなければ日中ダメージを感じることは無かったです。

ちなみに、転寝でもしてしまうと起きたときに強烈に痛さを感じるので要注意です。寝てしまうリスクがある人は確実にシリコーンハイドロゲル製のほうが良いです。

その他


デイリーズアクアの添付文書にはDk値(酸素透過係数)しか記載されていません。-3.00Dの場合中心厚0.1mmなので、Dk/L値を計算すると26になるはずです。それ以上の屈折率になれば当然Dk/L値が下がるはずで(中心部分以外は厚くなる)、強度の場合は少し酸素透過率が下がるため、どちらかというと弱度近視の人がお手軽に使うレンズ、という位置づけかもしれません。

シリコーンハイドロゲルが登場するまでは、酸素透過率をあげようとすると含水率を高めなければならず、含水率が上がると乾燥しやすいというなかなか厄介な問題がありました。

デイリーズアクアより安価なレンズも売られていますが、旧来の製品と考えられるグループI(非イオン低含水)のレンズが多く、酸素透過を水に頼ることができない製造業者は「乾燥しづらい」を売りにしているようです。

レンズの構造によって乾燥しないといっても、素材自体は酸素を通さないため、角膜に酸素を届けるために重要な水分が不足しているということですから、これは対策が取りようがない分、長時間の装用は個人的には避けたいと思っています。

これまでいろいろなコンタクトレンズを使ってきましたが、装用中に目の中で割れた(切れた)のはフォーカスデイリーズだけ(過去2回あるのでおそらくレンズの性質かと)。水分が多いということはそれだけ水以外の材料割合が少なく、また少し厚手のレンズであるため引っ張られるような状態になると切れやすいのかもしれません。AquaComfort PLUSのほうは目の中で折れたりずれたりと散々な経験もあるので、このシリーズの形状安定性は低いのかなと思っています。

取り外しにくいと言われるつるつるとした表面は、装用時にはまぶたの負担を下げているとも考えられます。コンタクトレンズを外すのは通常1日1回しかありませんが、瞬きは何度もしていることを考えると、つるつるするレンズは安心感のひとつにもなります。

冒頭にも書きましたが、慣れればそれほど外しにくいというわけでもないので、レンズ表面が滑りやすいというのは利点のほうが大きいです。

トータルで見るとよいレンズかな。
グループIのレンズよりちょっとだけ金額が高いぶん酸素の通りもよいし、着け心地も悪く無い感じです。個人的には体質と合うのか乾燥も少ないので、価格を基準にして選ぶならこのレンズかなと思っています。

基本スペック


販売名:フォーカス デイリーズ(デイリーズ アクア)
タイプ:ワンデー、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:13.8mm
BC:8.6mm
含水率:69.4%
Dk値:26
Dk/L値:26 @-3.00D
中心厚:0.1mm @-3.00D
USAN:nelfilcon A
素材:PVA
製造:CIBA Vision GmbH(ドイツ)、または CIBA Vision Asian Manufacturing and Logistics Pte. Ltd.(シンガポール)

街のコンタクト屋さんでも、通販でも、手に入れやすいレンズです。
いまとなってはあまり性能的な特長が無いので、市場価格も抑えめで、ネットでも大手メーカー品としてはいちばん安価な価格帯で販売されています。
ワンデー初めての人にも優しいような売られ方をされているのに、取り外しがしにくいといわれるビギナー向けなのかなんなのか微妙なレンズです。

2016年6月5日日曜日

眼科検診の重要性

コンタクトレンズを買うためには、眼科で検診をして処方箋をもらうことが一般的です。

ただ、法的には処方箋がなくてもコンタクトレンズを買うことができるため、処方箋なしで購入できるオンラインショップがたくさんあります。

では、こういう通販ショップで買うのは危険なのでしょうか?

コンタクトレンズはどこで買っても商品は同じです。

コンタクトレンズ製造は設備産業なので、各ブランドとも世界に工場を1つ2つしか有していません。このため国内正規品でも海外からの個人輸入でもおなじ工場で作ったおなじ製品ということがほとんどです。

強いていえば国内正規品であれば「コンタクトが割れていた」「入っていなかった」など不良品があった際にサポートが受けられるということでしょうか。

どこで買うにしても眼科検診をしっかり受けることが大切です。
逆に言えばきちんと検診を定期的に受けていれば、購入する場所はどこでもよく、安いところでまとめて買えば良いと思います。

街の眼科に検診をお願いすれば初診料込で保険診療1,500円程度ではないでしょうか。コンタクトレンズを購入するための再診だと400円弱です。
コンタクト屋さん併設よりも、コンタクトを併売していないような街の眼科の方がフェアな気がしています。

1dayを何日間も使い続けたり、2ウイークをきちんとお手入れしなかったがため、失明もしくは失明の手前まで行ったケースをブログで公表している人がいます。
おかしいと感じたらすぐ眼科に行くのはもちろんですが、定期に検診をしていれば大事に至る前に発見できる確率が上がります。
一生使う替えの効かない目のチェックを3ヶ月に1度行うためのコストは牛丼一杯なみの価格です。

流石に眼科は毎日目を診察しているわけで、異変があれば気がつくと考えられます。
医療ミスなどにより見逃される可能性もなくは無いですが、だからといって眼科の検診を受けない理由にはならないと思います。

目は取り換えが効かない(まぁ、角膜移植とかあるみたいですが)ため、3ヶ月に一度くらいはかかりつけ医で見てもらうのがいいのかなと。
1月あたり200円でお釣りが来ますから、年間2,000円もしません(眼科によってや検査の内容によって高くなることもありますが)。角膜潰瘍になったりアカントアメーバにやられたりすると一瞬で数十年分の費用がかかります。(治療費、入院費、入院中の所得減)

私自身は、自分の目の価値はそれよりもずっと高いと思っていて、コンタクトをしている期間は最低でも3か月、長くても6ヶ月に一度は検診を受けています。

コンタクトレンズをするということは目の中に異物を入れる行為です。
検診は絶対に受けるべきだと思っています。

2016年5月30日月曜日

コンタクトレンズの基本データ

コンタクトレンズを選ぶとき、視力はもちろんのことDIAやらBCやらいろいろなスペックを基準に自分に合うものを見つけることになります。

いちど、用語のおさらい。

分類

コンタクトレンズは素材がイオン性か非イオン性か、含水率がどうかによって次の4つに分けられています。

グループI: 非イオン性低含水
グループII: 非イオン性高含水
グループIII: イオン性低含水
グループIV: イオン性高含水

このグループ分けはシリコーンハイドロゲルが登場する前に決められたもので、シリコーンハイドロゲルの特徴を表しにくいため、最近ではグループV(シリコーンハイドロゲル製)を分けて表示することもあります。

「イオン性」「非イオン性」の違いは素材の電気的性質です。ざっくりというならば、化繊のように静電気を帯びやすいものと、綿のように静電気を帯びにくいみたいな違いです。
イオン性のほうが汚れが付きやすく(陽イオンの物質がくっつきやすく)、長時間では差が出るようです。
ちなみに、静電気の話はたとえなので、イオン性のレンズで「パチリ」とすることはありません。

含水率とは文字通り「水を含む割合」です。
目には酸素が必要です。裸眼の人はそのまま直接空気に触れているので問題ありませんが、コンタクトレンズは黒目にフタをしてしまうため、その分酸素供給が減ってしまいます。
レンズ自体に水を含ませることで、その水に溶け込んだ酸素を目に供給することができるため、含水率の高いレンズは酸素透過性が高くなります。
ただ、含水率を上げていくと、今度はコンタクトレンズが乾燥しやすくなるという別の問題が出てきますので、各社が保湿成分などを配合したりして影響を抑えています。

グループI
  • (メリット)汚れにくい(タンパク質が付着しにくい)
  • (メリット)乾燥しにくい
  • (デメリット)酸素透過性が低い
  • (デメリット)硬めの装着感
グループII
  • (メリット)汚れにくい(たんぱく質が付着しにくい)
  • (デメリット)乾燥しやすい
  • (メリット)酸素透過性が高い
  • (メリット)やわらかめで装着感が良い
グループIII
  • (デメリット)汚れやすい(たんぱく質が付きやすい)
  • (メリット)乾燥しにくい
  • (デメリット)酸素透過性が低い
  • (デメリット)硬めの装着感
グループIV
  • (デメリット)汚れやすい(たんぱく質が付きやすい)
  • (デメリット)乾燥しやすい
  • (メリット)酸素透過性が高い
  • (メリット)やわらかめで装着感が良い
上記の表からわかるように、一般的にはグループIIIのレンズはほとんど市販されていません。

USAN

米国一般名。医薬品につけられる一般名。コンタクトレンズの材質もある一定のルールに基づいて命名されます。商品名とは違い素材の名称みたいなもの。

Dk値

酸素透過係数です。この値は素材そのものがどれだけ酸素を通すかを示しています。レンズの中でどれだけ酸素が移動するかというD値と酸素がどれだけ素材に溶け込むかk値の積で表されます。単位は複雑なのであまり意識しなくてもよいのではないでしょうか。(あくまでも比較ができればよい程度ですし)
このDk値は統一した測定方法で測られたものではなく、各社が自主基準で公表していますので、あくまでも参考程度にしかなりません。

Dk/L値(Dk/t値)

先のDk値は素材そのものの酸素透過係数です。
レンズそのものが実際にどれだけ酸素を通すかは、レンズの厚さに反比例します。2つの会社が同じDk値の素材を開発しても、A社は 0.05mm厚のレンズ、B社は 0.1mmのレンズに仕上げたのであれば、A社のレンズのほうが酸素を通しやすいという結果になります。
Dk/L値をこの厚みも考慮してどのくらい酸素を通すかを示した値で酸素透過率と呼ばれています。
計算方法としては Dk値をレンズの厚さで割り、1/10した値になります。このためレンズの厚さが0.1mmの場合はDk値と同じになります。
なお、レンズの厚さは度数によっても変わりますので特定の度数(-3.00Dが多い)で示します。
Dk値と同様にDk/L値も測定基準が無いのであくまでも参考値です。実際に角膜にどの程度の酸素が通るかはレンズの水分蒸発や汚れの付着によっても変わりますので、一概にDk/L値が高いレンズが良いレンズと言う訳でもありません。

PWR(SPH)

レンズの度数です。近視用はマイナス(-)、遠視用はプラス(+)であらわされます。
単位はD(ディオプター:頂点屈折力)です。

近視とは遠くのものに対してピントが合わないという状態で、それをコンタクトレンズを挟むことでより遠くまでピントを合わせることができるようになります。
どのくらいのピント合わせが必要かをピント調整ができなくなる距離を基準に示したものがディオプター(D)です。

Dの計算は(100cm)÷(ピントが合う距離)で求めます。
例えば、本の文字などが
・100cmまでは見える(ピントが合う)が、それを超えるとぼやける  100cm/100cm = -1.00D
・50cmまでは見える(ピントが合う)が、それを超えるとぼやける  100cm/50cm = -2.00D
・20cmまでは見える(ピントが合う)が、それを超えるとぼやける  100cm/20cm = -5.00D
という感じです。

ちなみに、正常な目でもごくごく近く(目から20cmくらい)はピントが合いません。これは人間の目が近くのピントを合わせることに限界があるからです。加齢によりこの近くのピント合わせ機能が劣ることを老眼と呼んでいます。

近視用の凹レンズは遠くのものにピントを合わせるためのものであり、この矯正を行うと近くのものが余計に見づらくなることもあるため遠近両用コンタクトといったものがあります。
遠近両用コンタクトレンズにはADDという数値があり1から3くらいの数字が入っています。これは加入度数といって、レンズの度数を調整する値です。物理的には凹レンズの度合いを下げるように周辺の厚みを増やします。
例えばPWR -7.50D、ADD +2.00D の場合、レンズの中心は -7.50D ですが、レンズの縁に近いところは -7.50D + 2.00D = -5.50D 相当となっています。近くを見るときに目の負担を下げるため度数を下げるような働きをしています。

老眼の人でなくても、PWRを上げるとそれだけ手元の文字を見るために目の調節力が必要となるため、PC作業中心など比較的近くのモノを見ることが多いようなケースではPWRを少し下げたほうが目に優しいと言われています。(-5.00Dの人であれば -4.50Dや-4.00D)
この場合、遠くを見る時の矯正力は下がります。言い換えれば遠くまできっちりと度数を出そうとすると近くを見る時の負担が増え、近くを見る時の負担を下げるにはあまりきっちり遠くまで見えるような度数にしないということになります。
スポーツや自動車の運転などの時は矯正視力を出来るだけ上げるようなPWRを選び、PC作業など近場にピントを合わせる時は矯正視力はそこそこにするPWRを選ぶのも目の負担を下げることになります。

一般的な視力1.5だとか0.2だとかとは直接対応していませんので、「視力が〇だから〇D」みたいにはいかないことが多いです。

CYL、AXS

乱視の矯正数値です。
CYLは乱視を補正する度数で、PWRと同じくDで表します。乱視の度合いが高いほど値が大きくなります。PWRが-2.00D以下であれば乱視の調整はする必要がないという人もいます。
AXSは乱視を矯正する軸になります。よく「どの線が太く見えますか」みたいなテストがあると思いますが、この太く見える線の場所によって乱視を矯正する角度が変わりますので、その角度を示した値です。

DIA

コンタクトレンズの直径です。立体を無視して正面から見た時の二次元的な直径をmmで表したものです。日本人の瞳の大きさは12mm前後と言われていますので、市販されているソフトコンタクトレンズは黒目全体を覆うサイズになっています。
実際には黒目をちょっと覆う程度あれば十分です。大きさによってはまぶたや目尻などに引っかかりを感じる時があります。

BC

ベースカーブと呼ばれます。曲率(曲がり具合)を表していて、BC9.0なら半径9.0mmの球のカーブにぴったり沿う形ということになります。

人間の眼球もほぼ球状ですから、本来は目の大きさ(形)にあったBCを選択する必要があります。
球体にかぶせるイメージからも想像できるように、本来の目の形よりもBCが緩い(値が大きい)場合はズレやすかったりフチに違和感を感じやすく、BCがキツイ(値が小さい)場合は目に貼りつきやすい(吸盤みたいになる)傾向があります。
とはいうものの、ソフトコンタクトレンズでは性質上ある程度の差異は問題にならないことが多いです。

コンタクトがずれやすい、外れやすいという人は可能であれば小さめのBCのものに変えると解決できるかもしれません。
使い捨てのコンタクトレンズの場合同一製品ではBCが一種類しかないものが多く、合わない場合は他社もトライしてみるしかないのが現状です。

中心厚

コンタクトの中心の厚さです。
近視用のレンズは凹レンズのため、一般的には中心がいちばん薄い部分になります。


こうしてみるといろんなデータがあって、なかなか自分の目に合うものを探すのは大変そう。スペックの数字データがドンピシャでも、素材が合わなかったら終わり。
でも、目に合わないという感覚をどう克服していくかは数字ベースで考えたほうがよさそうな感じです。

2016年5月29日日曜日

コンタクトレンズ比較

ここ数年、自分の中ではメガネがいいかなと思っていたのだけれど、最近またうっとおしくなってきました。完全メガネというわけでもなく、休日などはワンデーのコンタクトレンズを使っていて、1箱買えば数ヶ月は持ってしまうわけで、違いを気にする程度でもなかったのですが、今年からはまたコンタクト中心にしようと思い立ちました。

以前コンタクトレンズを常用していた時は海外のサイトからその時の気分で数種類を購入してそれを交代で使うみたいな感じ。いちおう数ヶ月に一度は眼科検診して問題がないかを調べてもらっていました。毎日使うコンタクトレンズとしては当時はO2 Opticsがいちばんだったかな。

で、またコンタクトレンズ生活に戻る上で、どうせだからいろいろ試してみようということになりました。個人的にこういう比較が好きなので。
何種類か試さないと比べようが無いので、過去の記憶もフル活用して、いま手に入るコンタクトレンズを再評価してみようと。

このブログはそのメモです。

比較の方法は

基準レンズ(デイリーズアクア)と比較対象レンズを交合に14日間使う。

1日目:デイリーズアクア
2日目:比較対象レンズ
3日目:デイリーズアクア
4日目:比較対象レンズ
以下同じ感じで。

基準にデイリーズアクアを使っているのは、入手のしやすさと抑えめな価格でユーザーも多いと思われるため。

これから順次結果を書いていこうかと。