2016年9月17日土曜日

プロクリアとバイオトゥルー ワンデー比較

コンタクトレンズの着け心地を改善する一つの方法として、角膜に似せることで異物感を減らそうというアプローチがあります。

この、角膜の作りに似せた「生体模倣」をウリにしているレンズとして有名なものに次の二つがあります。

クーパービジョンの「プロクリアワンデー」とボシュロムの「バイオトゥルーワンデー」

まずはプロクリアーワンデー。

クーパービジョンのホームページにあるプロクリアワンデーの説明によると
瞳の角膜細胞をモデルにしたPCハイドロゲルは、 PCテクノロジーによって生まれた次世代のコンタクト レンズ素材です。 生体模倣の技術により、人の体になじみやすく 汚れにくいため、瞳の健康を妨げない環境を提供します。 さらに、ヒアルロン酸の約2倍の高い保湿力を持つ 保水成分MPC※の配合により、コンタクトレンズを乾燥から守ります。
と書いてあります。

一方、ソフトコンタクトレンズのパイオニアであるボシュロムが発売しているバイオトゥルーワンデー。

ボシュロムのサイトには
 自然界の優れた機能や性質を模倣した技術「バイオ・インスピレーション」。
この技術を応用して生まれたのが、独自素材「ハイパージェルTM」です。
ヒトの眼に本来備わっている機能を模倣することで、従来のレンズの欠点を最小限に抑えることに成功しました。
だそうです。高含水率なのに乾燥しにくいということもウリにしています。


プロクリアーワンデーの登場は結構インパクトがあって、ドライアイに効果があるレンズとのFDAによるお墨付きもあってか、クーパービジョンの技術力を広く知らしめる画期的なレンズでした。
Dk値20.5、Dk/L値22.8(-3.00D)とレンズデータだけ見るとお世辞にも新素材感を感じることのないレンズなのに、着け心地の評価が高く、クーパービジョンの主力商品です。クーパービジョン社の発表では12時間を超えても潤いが続く(96% hydration for 12 hours or more)とのことです。


後発のバイオトゥルーワンデーはそのあたり改善されているようで、角膜と同等の含水率78%と非常に高い数字によるDk/L値42(-3.00D)は非シリコーンハイドロゲルの中ではトップクラス。
ボシュロムの資料によるとDk値も42とあるので、厚みが0.1mmということで、意外と厚いレンズです。
16時間以上レンズが乾燥しない(maintains 98% of its moisture)そうな。


果たしてどちらが(自分にとって)優れたレンズなのか。
両方トライしてみました。
片目プロクリア、もう片目はバイオトゥルーを交合に5日間ほどトライしてみました。


着けた瞬間の着け心地という面ではバイオトゥルーのほうがやや良い感じでした。

眼科でトライアルして、正確に視力を測定したところ、ややプロクリアのほうがシャープにものが見えます。

最初にプロクリア、次にバイオトゥルーの順でトライアルしたところ、プロクリアでははっきり見えていた度数でも、バイオトゥルーだとややぼやける感じです。

その後、長時間の装用で比べてみても、経過1時間くらいはどちらかというとやはりプロクリアのほうがシャープにものが見えています。

つけ心地は、装用後30分もたつとどちらも着けていることを忘れるくらいで、甲乙つけがたく、フォーカスデイリーズアクアよりはどちらも確実に上回っています。

VDT以外(外出や休日の使用)では湿度の高い時期(9月)にトライしたせいか、どちらも感想を感じるようなケースは見られませんでした。違うことに集中しているときに、コンタクトレンズの違和感がそれを邪魔するなんてことはなく、ずれたりゴロゴロしたりするようなことも一切ないです。
湿度の高い室外から空調の聞いたドライな部屋に入った後などはどちらのレンズもやや乾燥気味になりますが、プロクリアのほうが早めに回復するケースが多かったです。

12時間以上装用してもどちらも乾きを感じることがほとんどなく、保水という面では評判通りです。
この辺りになるとバイオトゥルーはややピントが合いにくくなることが多い気がします。ひょっとすると目との相性かもしれません。
私の場合、アキュビューではBC8.5のほうが合うので(眼科でフィッティングした結果)、どちらかというとバイオトゥルーのほうが動きやすいという可能性があります。

個人的にはボシュロムのレンズとはあまり相性が良くないのかなぁという感じも。

両方のレンズともに一日を通じてレンズのエッジが気になるようなこともほとんどなく、長時間つけていても疲れが少ないです。

1時間半くらいうたたねしてしまったことがありますが、両方ともにこの程度では全く瞳に影響がありませんでした。他のコンタクトレンズだと起きた瞬間にかなり目が締め付けられる気がするのとは大きな違いです。

装用時点ではほぼ互角で気持ちプロクリアという感じでした。


で、終わるかと思ったのですが、レンズを外した際にはっきりとした違いがありました。
間違いなくバイオトゥルーのほうが外した後の違和感が少ないです。

コンタクトレンズをする場合、両眼ともに同じレンズをすることがふつうなので気づきにくいですが、左右で違うレンズを使うと外した後の違いが判ることがあります。
バイオトゥルーはより自然な感じなのが、プロクリアはバイオトゥルーよりもBCが緩いので締め付けの差というよりは酸素透過率やレンズ形状による目の負担の差が出ている感じです。


全体的な価格と着け心地その他を考えると、現時点ではバイオトゥルーワンデーに軍配を上げます。

バイオトゥルーワンデーは非シリコーンハイドロゲルのなかではトップクラスの酸素透過率を誇り、含水率も高く装用感もよいです。おまけに乾燥しにくいと従来素材の欠点を高いレベルで解決しているレンズです。

角膜への酸素供給量は素材の透過率だけでは測れないといわれていても、素材自体がそれなりに酸素を通すほうが安心です。

通販系ではあまり売られていませんが、街のコンタクトレンズやさんでは結構取り扱いがあると思いますので、とりあえず最初は最寄りの眼科でトライアルしてみて、合うようであれば通販なども使ってもよいかもしれません。

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