2016年11月8日火曜日

ワンデーアキュビュートゥルーアイ レポート - 1 Day ACUVUE TruEye -

世界初ワンデータイプのシリコーンハイドロゲルレンズ。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」


このレンズを使ってみて、特に合わないということがなければ、もうコレ使っておけばいいのではないでしょうか、というくらいのレンズです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの第三世代ハイドラクリアテクノロジーによって、人の角膜よりもなめらかな表面となっていて、硬い素材でありながら良いつけ心地を実現しようとしています。

ちなみに、この滑らかさ(摩擦の少なさ)はアキュビューモイストのほうが上回っています。成熟した製品は強いです。

また、トゥルーアイは裸眼時と比べてもおよそ98%の酸素を通します。アキュビューモイストは88%、デイリーズアクアは89%あたりなので、それと比較してかなり裸眼に近い状態だといえます。
このくらいだと一日着けていてもそれほど影響がないのではないかと考えられています。

Dk/L値は118とワンデーアキュビューモイスト(33.3)の3倍以上。
まさに桁違い。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの伝統であるUVカットもついていて、とにかく目に優しいような謳い文句を揃えたレンズです。

シリコーンハイドロゲルレンズはアルコンやボシュロムも出していますが、トゥルーアイの特筆すべき点はその価格です。他社シリコーンハイドロゲルと比べても2/3程度の価格で入手できることもあります。

パッケージ


アキュビューシリーズで統一されたコンセプトを受け継ぐデザインです。
モイストよりも少しだけ高級感が感じられると言ったところでしょうか。


アキュビューのブリスターパッケージはほぼどれもおなじ正方形のもの。
他のメーカーと比較するとあまり工夫の無い印象を受けます。


ブリスターパッケージを切り離す際に、注意しないと隣のパッケージまで切ってしまうこともありますので、もう少し工夫があってもよいのかなと言う気もします。

今回はアイルランド製のようです。


つけてみた感じ


コシがあるレンズのため、ブリスターパッケージから取り出しやすいです。
保存液は気持ちぬるぬるしているもので、コンタクトレンズを入れる際になじみやすそうな印象を受けます。

形の問題なのか、素材の問題なのか、瞳へのノリは少し悪い感じもします。
一度入ってしまいさいすれば違和感がなく、ずれて落ちてしまったのかなと思うくらいのときもあります。

トゥルーアイは視力が出やすいレンズです。
眼科で比較してみると同じジョンソンエンドジョンソンのアキュビューモイストと比較してもより明るく、はっきりとものが見えます。(つけた直後だけかもしれません)

そのためか、他のレンズに比較して近くが見づらい(いわゆる老眼状態になる)ため、VDTが中心であれば少し度数を落とさないと目の負担が大きいかもしれません。

46%と従来のハイドロゲル素材と比べると含水率の低いレンズですが、装用感は高含水レンズと遜色ないつけ心地です。

数時間経過後の段階では、レンズが意識されることも少ないです。

ただ、8時間を経過してくるとややレンズのエッジ部分が気になり始まりだすことがあります。
これはいつもというわけではなく、ときどき意識される程度です。
今回BCが8.5のほうを着けているので、よりその感覚が強くなるのかもしれません。

ちなみに、このレンズのBC9.0は私には緩く、瞬きをしたときに外れたり、なんかの理由で目を軽くでもこするようなことがあるとすぐに外れて落ちてしまう経験を何度もしました。

モイストでもずれたり折れたりした経験が何度かあることからも、アキュビュー系のBC9.0は私にとっては明らかに緩いです。(コンタクト屋さん併設眼科でみてもらったうえで購入しました)

その後、他の一般眼科で両方のフィッティングを見てもらったところ、どちらでも目の中の動きは問題ないが、8.5のほうが締め付ける感覚を覚える可能性がありつつも、ズレが少ないので向いているだろうとのことでした。

シリコーンハイドロゲルのレンズはタンパク汚れに強く、脂質の汚れに弱いと言われています。
ごくまれに長時間着けているとやや曇るような感じを受けることがあります。

また、なぜか一時的に視力出にくくなることがあります。
もともと私はそれほど近視が強くないため、一瞬レンズが外れてしまったのかと感じます。
(実際にはレンズを外すとそれ以上に見えないが、見えている方との比較になるためこのような感じをうけます)

装用感が比較的良いため、外れいているのか入っているのかがわかりにくいということもあります。

全体としては極端に目がつかれるようなこともなく、明らかに従来のハイドロゲル素材よりも楽です。


その他


シリコーンハイドロゲル素材のワンデーレンズとして業界を独走していましたが、最近次々と各社がこの素材でワンデータイプのコンタクトレンズを発売してきました。

後発のメーカーはより装用感の向上にポイントをあて、表面加工や含水率等の工夫をしています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンも、最新の技術を投入したワンデーアキュビューオアシスを発売し、シリコーンハイドロゲルレンズも1社で複数の商品を揃える時代に突入しました。

トゥルーアイはお手軽にシリコーンハイドロゲルを使うことができるという点においては、独自の立ち位置にあります。
価格的には従来のハイドロゲル素材並で、高い酸素透過率を得られます。

体質的にシリコーンがダメな人もいるので、すべてがシリコーンハイドロゲルに置き換わることは無いと思われますが、シリコーンハイドロゲルの中ではベーシックモデルとして続きそうな気もします。

基本スペック


販売名:ワンデー アキュビュー トゥルーアイ
タイプ:1日交換、終日装用
分類:グループV(シリコーンハイドロゲル)
DIA:14.2mm
BC:8.5mm(他に9.0mmもあり)
含水率:46%
Dk値:100
Dk/L値:118 @-3.00D
中心厚:0.085mm @-3.00D
USAN:narafilcon A
製造:Johnson & Johnson Vision Care, Inc. (米国)、Johnson & Johnson Vision Care (Ireland)(アイルランド)

世界初シリコーンハイドロゲルワンデー。米国のVistakonで開発されました。
素材そのもののDk値は先行して販売されていた2ウィークタイプと比べて高くないものの、ワンデータイプとして十分な酸素透過性を持ち、高めの含水率によって装用感もよいです。

価格的にはすでに同社のアキュビューモイストと比較してもそれほど変わらず、ハイドロゲル素材ならモイスト、シリコーンハイドロゲルならトゥルーアイと両立した商品展開がされています。

お値段から考えても、体質的に合わない人を除きワンデータイプのシリコーンハイドロゲルとして最もおすすめになるレンズではないでしょうか。

2016年11月2日水曜日

デイリーズアクアとデイリーズアクアコンフォートプラスの比較

日本アルコンから販売されいてる「デイリーズアクア」と「デイリーズアクアコンフォートプラス」

街のコンタクトレンズ屋さんでも取扱が多く、特に前者は比較的安価に販売されていることもあり愛用している人も多いと思われます。

国内の通販サイトでも1,300円くらいで買えますし。

他方のデイリーズアクアの上位バージョンで、潤いを改善したことがウリの「デイリーズアクアコンフォートプラス」(以下は「コンフォートプラス」と記します)

こちらは結構高くて、国内サイトだと2,000円を超える値段で売っているケースが多く、海外サイトで購入しても送料込みで2,000円弱します。

このふたつ、似て異なるレンズでしてレンズそのものの素材はおなじなのに、ベースカーブやDIAといった形状が異なります。

箱のデザインも結構違っていたりします。
(両方とも国内正規品)
サイズ表記もフォントからレイアウトから全部違います。

説明書きもデイリーズアクアは日本語中心のいかにも日本人向けですが、
コンフォートプラスは海外のパッケージそのままです。

デイリーズアクアは海外パッケージとは別に国内パッケージを作っているため日本語中心ですが、コンフォートプラスは世界共通パッケージをそのまま国内でも流通させているといったところでしょうか。

コンフォートプラスはデイリーズアクアの改良版とされています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンのアキュビューのように、素材と形状は同じにしながら潤い成分などを変えて改良するのではなく、基材だけ同じにしてイチから全く異なるレンズを作っています。

形状の違いのほか、コンフォートプラスの方は保存液にHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)とPEG(ポリエチレングリコール)が含まれています。

前者は食品加工物としても使われていて、滑りや粘り気を与える効果があります。アルコンではクッション材と例えています。
また後者は界面活性剤の性質を持ち、吸湿性を利用することで蒸発を防ごうとしているものと予想されます。同じくアルコンのサイトでは涙を引き寄せると書かれています。

というか、形状はともかくとして保存液しか違わないのですかね、このふたつは。

形状の改良により乾燥に強くなったという可能性もありますが、実はあまり影響がなく、むしろ大きくなったことによって装用感は上がったかもしれませんが、その分レンズが瞳の涙を吸収して発散することから乾燥する可能性は増えたのではないかと。

店頭ではそれなりの価格差で売られていますが、もしそのほとんどが保存液の改良分だとしたら、お値段に見合う効果があるのかと期待しちゃいます。


ということで、片目にデイリーズアクア、もう片目にコンフォートプラスを使い比べてみました。

ブリスターパックの形状はおなじ。

デイリーズアクアは5枚全体でひとつのデザインになっていますが、コンフォートプラスは一つ一つがおなじデザインで独立しています。

アルコンのこのパッケージは切り離しがしやすく、開けやすい秀逸なデザインだと思います。

着けて比べてみました


初めに、ブリスターパックを開けてレンズを取り出そうとすると、保存液の違いがはっきりと判ります。

デイリーズアクアは比較的さらさらとした保存液なのに対して、コンフォートプラスはかなりぬるぬるしています。同時に触ると明確に違いが感じられます。
このぬるぬる度合いは保存液にうるおい成分が入っているプロクリアワンデーよりも上です。

レンズの色もデイリーズアクアはほぼ無色に対して、コンフォートプラスは薄い青色で判りやすい。
感覚的には改良されていることがわかりやすいです。


実際に比べてみた結論としては...

うーん、違いがわからないかな。

ソフトレンズなのでベースカーブの違いもあまり影響が無いですし、サイズは若干コンフォートプラスのほうが大きいものの、それほど意識されることもないです。

朝のつけた直後の感想としてはほとんど同じです。
コンフォートプラスのほうが保存液の潤いがあるため、気持ちフィット感が良い感じを受けますが、着けて数分もしてみればそれほど違いがあるようにも感じられません。

午後から夕方にかけてはもうどちらがどちらなのか判りにくい感じです。
むしろコンフォートプラスのほうがBCが大きいせいか少しエッジの違和感を感じることがあります。ただ、明確な違いがあるかと言われればわからないというところが本音です。

酷使する効き目側は違和感を感じやすいのですが、この違和感はコンフォートプラスの時のほうが感じることが多かったのは意外でした。

12時間を超えるくらいになるとデイリーズアクアのほうが少しゴロゴロする感じを受けます。しかしこれも明確に違いが分かるのかと言われれば気のせいかも、という程度です。
日によっては感じないこともあり、明確な差が出るほどではなく、誤差の範囲のような気がします。

このふたつのレンズの比較に限って言えば、違いがほとんどわかりづらいという結論です。

ドライアイの人であれば違いが明確にわかるかもしれません。ただ、私はほとんどコンフォートプラスの保存液効果を感じることはありませんでした。乾燥感にしてはほとんど同じでした。

デイリーズアクアは滑って外しにくいという意見が多いレンズです。
慣れるとそれほどでもないのですが(トータルワンやオアシスワンデーのほうがずっと外しにくい)、コンタクトレンズ全体の中では滑りやすい方かもしれません。

これについてはデイリーズアクアもコンフォートプラスもほぼ差がないといえます。

店頭での価格差を考えると、総合的にどちらかと言われれば私ならデイリーズアクアに軍配を上げます。

コンフォートプラスで採用された技術は装用直後など確かにある程度の効果を感じることがあります。

ただ、乾燥が気になる人であればソフトサンティアなどをこまめに差したほうが現実的です。

コンフォートプラスの価格帯になると、シリコーンハイドロゲルと競合するゾーンになるので、従来素材にこだわらなければトゥルーアイも比較対象に入ってきます。
酸素透過性、感想のしづらさでは一定の評価があるトゥルーアイと勝負をするのは少し厳しい感じです。

逆に、シリコーンハイドロゲルが合わない体質であれば、デイリーズアクアにしたほうがお財布に優しく、より「使い捨て」感あるレンズです。

シリコーンハイドロゲルの半値近い価格メリットを活かして、装用時間を短くした朝晩のピンポイント2枚使いなんてのもありなんではないでしょうか。

ディスプレイ作業が多い人は日中はメガネでも問題なさそうですしね。

2016年10月23日日曜日

ボシュロム バイオトゥルーワンデー レポート - Biotrue ONEday -

ボシュロムの最新技術の結晶「バイオトゥルーワンデー」


ボシュロムは国内ではメダリスト、海外ではソフレンズブランドでワンデーを展開していましたが、全く新しいブランドとして発売しているコンタクトレンズです。

バイオ・インスピレーション(生体模倣技術)によって作られた独自素材のハイパージェルによってつけ心地の良さと乾きにくさを両立しています。

最近多くなったPCを中心とするVDT作業の間、人の瞬き回数は通常の1/3くらいになるそうです。瞬きが減ることでレンズの表面はより乾燥します。

このような環境で使われるレンズとして、レンズの表面は角膜が水分を保持する仕組みを模倣して、蒸発を防止する「うるおいバリア」を形成。中心部のPoloxamer407がレンズに水分を留める構造となっています。
ボシュロムによれば16時間経過後でもほぼつけ始めとおなじくらい(98%)の保水ができるとのこと。

つけ心地に大きな影響を与える含水率は78%とソフトコンタクトレンズの中では最高クラス。非常に柔らかく着けた瞬間にみずみずしいことがはっきりと体感できます。

高い含水率と酸素の効果的な取り込みによって、Dk値は42とシリコーンハイドロゲル以外の素材としては最高峰の値です。ボシュロムによれば瞳の表面に大気中の酸素がどれだけ届くかという酸素流量率は93%と、こちらも高い値です。

さらに、非球面デザイン、UVカット機能もついていて、スペック的には非の打ち所が無いレンズです。

後発であるため、それまでの課題が克服されていると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

パッケージ


緑をベースに青でアクセントをつけたデザインは、コンタクトレンズ屋さんの店頭でも目立ちます。


国内で販売されているものは国内専用の箱のようで、箱の裏側の説明は全て日本語です。
箱の中には添付文書が入っています。
国内正規品は法律により添付文書が必要ですが、ボシュロムは国内で箱詰めするためか箱の中に入っています。


そのためか、販売時点では箱にラミネートはされていません。
アキュビューのように箱の正面に挟んでデザイン台無しにするよりは好印象です。

みずみずしい青色は却って乾燥しやすいような印象も与えがちなので、あまり水分を意識させないパッケージは乾燥に強い新世代レンズと言う位置づけを考えると斬新でした。

ブリスターパッケージはボシュロム伝統の大きめかつ、開けにくいものです。
がっちりとくっついていますが、クーパービジョンにありがちな開けた瞬間に「ピュッ」と保存液が飛んでくることはありません。


全体が大きく、レンズが入っている部分の体積も大きく取ってあり、机においたときも安定するような工夫が見られます。

ソフトレンズは蓋を開けたらそのまま手のひらにドボンと落とすような取り出し方がおすすめされているようですので、取り出し易さの形状は関係ないのでしょうか。

それにしてもボシュロムは箱大きすぎですね。
ブリスターパッケージが大きいため、必然的に箱も大きくなっています。
同じ量(30枚)で高さがこれだけ違います。


つけてみた感じ


まずはじめに目に入れた瞬間、これまでのレンズとの違いがわかります。

78%という高い含水率がなせる技なのか、瞳と一体化するようにすっと馴染みます。
この馴染みの良さはつけ心地が良いと言われるクーパービジョンを凌駕します。

これだけ高い含水率なので乾きやすさが気になるところですが、乾燥を防ぐテクノロジーによって、高含水率でありながら長い時間装用していても乾いた感じがほとんどありません。

VDT(ディスプレイを見ながら仕事をする)作業が多いため、今回意図的に度数を下げていますが、遠方が極端に見えづらくなるようなこともなく、日中は付けていることを忘れることが多いです。

メガネは目に優しいといわれていても、視界の問題やパットの違和感などがあるので、バイオトゥルーワンデーのほうが楽に感じます。

デイリーズアクアあたりだと夕方以降にレンズの違和感を感じることが増えてきますが、バイオトゥルーワンデーはあまりそういった感じを受けません。

ボシュロムによると着け始めの78%という含水率は16時間後も76.5%まで維持されているのに対して、アキュビューモイスト58%が51.5%くらいまで下がるようですので、この変化率が装用感の変化に影響していると思われます。

14時間くらい経過しても、エッジが気になるとか、目がゴロゴロするとかはありません。ほんとこのレンズは着けごこちが良いです。

見え方は他のレンズより弱い感じを受けます。
眼科で他のレンズと比較トライアルをすると、他のレンズで見えていた視力まで出にくく、やや矯正力は弱いのかなと。

ただ、これだけ含水率が大きいとレンズの形状を構成する中に含まれている水分の比率が相当になるので、多少の影響があるのかもしれません。

まぁ、それを打ち消すほど装用感が良いですし、実用上問題になるほど見えにくいということはないので、実力の高さが際立ちます。

私はVDT作業が多いので、意図的に度数を下げていることもあり、遠方の矯正力はそれほど期待していません。もちろん、遠くが見えにくいというわけでもなく、あくまでも比較してわかる程度でした。

シリコーンハイドロゲルが合わない人や、柔らかなつけ心地を求める人にとってはかなりおすすめなレンズになるのではないでしょうか。

その他


ボシュロムはバイオトゥルーワンデーを、HEMAを中心としたハイドロゲル素材の第一世代、シリコーンハイドロゲルによる第二世代に続く、第三世代のコンタクトレンズとしています。

ハイドロゲルの装用感の良さと、シリコーンハイドロゲルの高い酸素透過性の良いとこ取りをしていると。

最近では酸素透過性の高さによりシリコーンハイドロゲルが良いもので、それ以外の素材は従来型として一段劣ったものとして扱われる印象があります。

新製品が出ると、いかにも従来のものがだめなような印象を与え、かつ自分が得意とする部分を全面に押し出すマーケティングがされることが多いのですが、まさにシリコーンハイドロゲルはそんな感じで優秀さを強調されています。

シリコーンハイドロゲルは乾燥を防ぐために含水率を下げる方向にありますが、そうなると素材自体の硬さが目立ってしまい、含水率を意図的に下げていると思われるアルコンの02オプティクスのように、合わない人には全く合わないレンズになってしまいます。

酸素透過率は高いほうが良いとは言え、それによってレンズが硬くなり装用感が悪くなったり、瞳を傷つけるようなことが出てしまっては何が良いのかわかりません。

バイオトゥルーワンデーはシリコーンハイドロゲル一辺倒であった業界の流れを根本から覆すアプローチで作られたレンズであり、従来素材の改良版という見られ方をするのはメーカーとしても声を大にして異を唱えたいところでしょうね。

米国のバイオトゥルーのサイトではデイリーズアクアとアキュビューモイストが比較対象に挙げられていますが、このレンズの相手はどう見てもプロクリアワンデーですよね。

プロクリアワンデーと比較すると、含水率やDk/L値など数字的な部分は勝っています。
敢えてこれを比較対象に入れていないのは、プロクリアワンデーもかなり優秀な成績を上げているのだろうと邪推してしまいます。

私は海外のサイトから買うことも多いのですが、海外パッケージは国内パッケージとは異なり、小さいものも売っているようです。
(工場の違い、ということになるのでしょうか)


ブリスターパックの形は似ていますが、大きさが全然違います。右のサイズであれば、アキュビューと同程度の箱に収まります。

国内ではおよそ2,000円強から3,000円くらいの範囲で売られているようです。

基本スペック


販売名:ボシュロム バイオトゥルーワンデー
タイプ:1日使い捨て、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.6mm
含水率:78%
Dk値:42
Dk/L値:42 @-3.00D
中心厚:0.1mm @-3.00D
USAN:nesofilcon A
製造:Bausch & Lomb Ireland, Ltd.

ボシュロムの最新ワンデーレンズ。
メダリストが通販で販売されているのに対し、こちらは国内では対面販売オンリー。
生体模倣技術が採用され、着け始めから10時間以上経過後まで乾燥感を感じることが少なく、目の疲れも少ないレンズです。
メダリストとは異なり、バイオトゥルーワンデーはアイルランドの工場だけで作っているようです。
いいレンズだと思いますが、少々入手難というところでしょうか。

2016年10月20日木曜日

コンタクトレンズ屋さんと眼科

ワンデーアキュビューオアシスをトライアルしてきました。

短期の出張でコンタクトレンズを切らしてしまったため、近場のコンタクトレンズ屋さんで購入するついでに、興味のあったワンデーアキュビューオアシスも試してみました。

最初の感想は「でかい!」
もう目に入れるときに明らかに大きさが違うのがわかります。

とても大きなコンタクトレンズを目にかぶせるような感じ。

着け初めの装用感は恐ろしいほどに快適です。
着けた直後は何も着けていないのかと思うほどスムーズ。

ただ、トライアルではBC 9.0でしたので、単に緩いレンズのためエッジが気にならなかっただけかもしれません。
着けて30分もしないうちに、右目が違和感が出てきて、一瞬レンズが外れてしまったかと思うほどでした。

トライアルレンズを1日装用した時点では、夜になって下部のエッジ部分が気になってきて「値段の割にイマイチだなぁ〜」という感想でした。

今回、いつもと別の眼科に行ったのですが、以前モイストのときはBC 9.0だとずれてしまったと言っても、「ソフトコンタクトレンズはカーブは気にしないでも大丈夫」と断言してそのまま診察が終わりました。

レンズをした状態で目の動きをあまりきちんと見ているような気もせず、フィッティング適当っぽい感じでした。

統計的にはそうなのかもしれませんが、BC 9.0のときにイマイチレンズと思っていたモイストがBC 8.5にしたらまるで別物と言えるくらい良くなったという実感がありましたし、メーカーもわざわざ在庫リスク増やしてまで2種類用意しているくらいなので、BCを気にしないというのもどうかと。せめて「あなたの目の形ならBC 9.0のほうが近いはず。BC 8.5のほうが良い気がしても、キツめのレンズの弊害があるため、私はBC 9.0でしか処方箋を作らない」くらいの態度だと安心なのですが。

これだけコンタクトレンズの障害が多いのだから通販で買わないで眼科に来いと業界でキャンペーンしていても、1、2分診療でロクに確認もせず、9.0と8.5の比較もしないのでは定期検診以外受ける意味がありません。

ジョンソン・エンド・ジョンソンも眼科行け行けいうのであれば、きちんとフィッティングをしてほしいくらいの助言はしてほしいなと。トライアルレンズのBCが極端に偏って消費されるところには確認してほしいです。メーカーとしてせっかく2種類のBCを用意するという良心的な対応をしているのに、現場の医者がカーブのチェックをまるでしていないというのはどうなんでしょう。計測機械だけで解るのであれば、やっぱり販売と検診は分離してもいいのでは。
今回は「上見て〜」「下見て〜」などのレンズの動きをチェックするようなこともありませんでしたし。

コンタクトレンズの処方箋を目的に眼科に行ったところで、どうせフィッティングの違いまで見ていないのだから、ふだんは通販で買って、違和感が出たらすぐに、そうでなくても半年に一度位真面目に検査してくれる眼科に行くほうがよほど安心ですし、経済的だと思います。

ちなみに、眼科医はテキトーでしたが、検査員の若い女性の方は非常にていねいで、時間をかけて何度も視力検査のレンズを入れ替え、最適な度数を探す努力をしてくれました。右目と左目の微妙な違いや、度数をどこまで落とすとどうなるか、上げるとどうなるかということがとても良くわかり、いままでの度数よりも下げても影響が少なく、むしろよく見える(体調や環境もあるとはいえ、いままでやや過矯正気味?)ということもわかりました。これがプロの仕事だと思います。

視力は変わることもありますし、レンズによって見え方も変わるのでていねいに見てもらえただけでも診察代の価値ありますね。

こういうきちんと仕事をする人が、単位時間あたりの検査人数とかで評価されて、低い評価にならないか心配してしまいます。

とりあえず顧客を囲い込みたいコンタクトレンズ屋さんと、あまり儲からない仕事は手っ取り早く片付ける眼科の組み合わせは消費者にとっては最悪の組み合わせですね。
そういうレンズ屋に限って、使わなかった処方箋まで回収しようとしたりしますから。

全部の併設眼科がそうではないのでしょう。
ただ、大手のショップが紹介するところでコレですから、販売店も眼科とグルで設けているのかなと勘ぐってしまいます。

初回のレンズはどうしてもフィッティングを見てもらいたいので眼科に頼るしかありません。

やっぱり眼科はコンタクトレンズの売上にとらわれなく、かつ真面目な先生がいるところに限ると思います、はい。

2016年10月16日日曜日

エルコンワンデー レポート - L-CON 1DAY -

低価格なレンズとして有名なエルコンワンデー。

この立ち位置では第一人者という感じでしょうか。

率直な感想としては、いまさらグループIか、という印象です。
インターネットでコンタクトレンズの販売が激化しているいまとなっては同価格帯でもう少しスペックの高いレンズが乱立しているので、インパクトとしてはいまいちな気がします。

過去に回収騒ぎがあったり、おなじシンシアが発売するレンズにいちゃもん付けられたりと何かとよろしくない話題が多かったエルコンシリーズですが、最近は岡崎紗絵さんを起用してからイメージが格段に向上した感じです。

製造販売元は日本の企業であるシンシアですが、実際の製造は台湾の St. Shine Optical という会社です。

この St. Shine Optical はコンタクトレンズ製造の OEM 大手で、ハイテクで言うところの TSMC みたいな企業です。最近ではシリコーンハイドロゲルレンズも製造しているアジアの一大マニュファクチャーです。

日本ではシンシア以外にシードが一部の製品を製造委託しています。

パッケージ

デザインはとても好印象です。
過度にみずみずしさをアピールする古臭いデザインとは異なり、緑を基調としたポップなデザインは目を惹きます。

ブリスターパッケージもシンプルで格好いいです。

ただ、このブリスターパックは切り離して机に置くと不安定です。

他のブランドは平らな面に置いたときに安定するように工夫がされていますが、エルコンワンデーはグラグラしてしまいます。
左がエルコンワンデー。
この不安定さによって意外と開けにくかったりします。

箱はとてもコンパクトです。
アルコンのデイリーズアクアと比べると1cm以上小さいようです。

つけてみた感じ

あまりハイテクでないレンズなので大きな期待をせず(?)に着けてみたところ、思いの外装用感が良かったです。

若干コンタクトレンズを着けている感がするものの、付け始めから数時間は低含水率や酸素透過率の低さは気にならず、特に変わったこともないふつうのレンズという印象です。

半日ほど経過すると段階でやや違和感を感じることが多いです。
6時間を経過してくると、目の疲れが明らかに意識されるようになり外したい感が強くなります。
これは「酸素透過率が低い」という情報が長時間装用を避けるようにするという意識を与えているのだと思います。

わざわざそういうことを気にしながら着けるのも気づかれするので、何度か短時間使ってみてからあまり使わなくなりました。

その他


角膜に対する酸素の必要性が重視される風潮のいま、Dk/L値が11.3というのは少し厳しいのではないかと。
目に対する酸素供給は素材だけではなく、レンズのデザインによる涙の流れやレンズの動きにも影響されますが、さすがに数百円の違いで酸素透過率倍くらいのレンズが買えるのでイマイチ感が目立ってしまいます。

ところで、含水率が低いため乾燥しにくいような印象を与えていますが、これって本当なのでしょうか。
含水率が低いということは、単純にレンズに保持できる水分が少ないというだけで、蒸発のし易さ、水の吸い易さとは必ずしも連動しないような...

含水率が高くても、単位時間あたりの表面からの蒸発量が少なければ瞳の涙分を吸い上げにくいだろうし、逆にレンズに含まれている水分蒸発を保護する仕組みがなければ、たとえ低含水率でもレンズから水は蒸発し、その分瞳の涙液を吸ってしまうのではないかと思うのですが、やっぱり単純に含水率に比例するようなものなのでしょうか。

病院行くほどのレベルの人は、残された目の機能を考えるとシリコーンハイドロゲル使うべきではないかという感じですが、ごく短時間使うのであれば使い勝手の良いレンズかもしれません。

ランニングコストだけでいうなら、2ウィークのシリコーンハイドロゲルにしてAOセプトクリアケアあたりでメンテナンスしたほうが安価にドライアイ対策と酸素供給を両立できます。

どちらかというと、野球やサッカーの試合などスポーツのときだけ付けるとか、雨の日や夜間のドライブのためにいつもより度数を少しだけ高めにしたレンズが一時的に欲しい場合、そんなときに役立つレンズです。

ふだん2ウィーク中心の人が、紛失時等の予備用としてかばんにストックするにも良いかもしれません。コンタクトレンズを長時間装用する人ばかりでも無いと思いますので、ふだんは使わないが時として必要になるようなケースでは重宝するかなと。

短時間装用であれば瞳に与える影響も少ないことが予想され、そういったときに取り回しのし易いエルコンワンデーは使いやすいと思います。

全体としては少し厳しい感想になってしまいました。

このレンズ、もし1箱300円とかなら思いっきり「買い」なんですけどね。

朝の通勤時にはばっちりメイクで颯爽と出勤。会社に来たら外して捨てる。
会社ではブルーライト対応の度つきメガネで過ごして、帰りにまた新しいものを着けて寄り道デートなんてことが実現できますから。

短時間装用なら酸素透過率は多少低くても影響を抑えることができるし、とにかく安価ならつけたり外したりしてもお財布の負担も少ない。
人に見られるところではメガネをかけたくない。でも、仕事中は目の健康を考えてメガネもあり。なんて人にとってはライフスタイル変えるレンズになるんじゃないですかね?

基本スペック

販売名:エルコンワンデー
タイプ:ワンデー、終日装用
分類:グループI(非イオン性低含水)
DIA: 14.0mm
BC:8.7 mm(他に9.0mmの設定あり)
含水率:38.5%
Dk値:7.93
Dk/L値:11.3(-3.00D)
中心厚:0.07mm @-3.00D
製造:ST. SHINE Optical Co.,LTD(台湾)

製造販売元はシンシアという日本のメーカーですが、実際にはOEMですね。
旧世代のレンズなので今の販売価格は少し高いかな。
同じ価格帯でデイリーズアクアやメダリストワンデー買うことができるケースがありますし。

2016年9月24日土曜日

プロクリア ワンデー レポート - Proclear 1 day -

クーパービジョンの主力レンズの一つ、プロクリアワンデー。
装用感が良いと評判の高いレンズ。


いまでこそクーパービジョンのワンデーフラッグシップは「マイデー」という感じですが、角膜細胞をモデルにしたこのレンズは、登場時はかなり印象的でした。

クーパービジョンのホームページによると、「含水率が低下しにくい」ということと「汚れが付きにくい」ということがアピールポイントっぽいです。

後者はワンデーなのでよほどたんぱく質が出やすい人以外は気にするほどでもないかと。
むしろ、このレンズ、乾きにくいという点では確かに秀でていることが実感できます。

パッケージ


クーパービジョンはここ数年パッケージの刷新をして、洗練された外見になりました。
それまではいかにもみずみずしさをウリにした青色基調のデザインだったのが、暖色も含めたシンプルなデザインになりました。

箱の裏を見てみるとイギリス製のようです。
コンタクトレンズは税制上有利だといわれているアイルランド製が多い中で、英国製というのは結構珍しいかも。

開けるとこんな感じ。

クーパービジョンのパッケージは、開けるとなぜか左右に少しゆとりがあります。

ブリスターパックの重ね方の関係でしょうか。

それにしてもクーパービジョンのブリスターパッケージは開けにくいですね。接着の部分が強めについているようで、手が湿っていると滑ることもあり、はがすときにも変な形で切れることがあります。

つけてみた感じ


つけた瞬間から違いがわかります。
目にすっと入っていくような感覚で、違和感がほとんどありません。

違和感を感じるとすれば表裏が逆になっているときくらいで、着けた瞬間から着けていることを意識しないくらいの一体感を感じます。
厚めのレンズでありながら、それを感じないところはさすが装用感に定評のあるクーパービジョンです。

視界もクリアで、クーパービジョンのレンズと私の目の相性は良いようです。

含水率60%と高めなためウェットな感じがします。
驚くのは長時間着けていても乾燥感をほとんど感じないこと。
12時間たってもほとんど蒸発せずつけた時の水分を保持するという触れ込みは伊達ではありません。

このレンズは「装用中にごろごろ感やドライアイの症状を感じることを軽減する」といううたい文句を掲げることを、FDA(米国の厚生労働省みたいな感じ)から認められています。

その触れ込み通り多くのユーザの声を見ても、含水率が高いのに乾燥しにくいという評価が多い感じです。

人間の角膜をモデルにした生体模倣技術が取り入れられていることと、独自の保水成分の働きが効いているのかと思われます。

12時間以上VDT作業をしていても乾燥感はありません。(もともと私はドライアイ傾向ではないですが)
感想をしているという感じがほとんどないので、確かにこれはいい感じだわと実感できます。

ただ、時間が長くなれば長くなるほど視力が出にくくなる気がしています。

やはり酸素透過率が低いため、目がだんだんと疲れてくるのでしょうか...
平均的に14時間くらいつけているのですが、コンタクトレンズを外した後に、心なしか目がほっとした感じになっているような気分になります。

外した後になぜか目薬を差したくなります。

その他

クーパービジョンからは満を持してシリコーンハイドロゲル素材の「マイデイ」が出ましたので、今後はそちらに主力が移る感じもしています。

プロクリアーワンデーはDk/L値が22.8と決して高い数字ではありません。むしろ従来素材では後発の割には低い値です。

瞳への酸素供給はDk/L値だけでは決まらないとは言うものの、ここまで明らかに低いとドライアイなどでこのレンズ以外瞳が持たないというのでなければ、いまとなっては万人が積極的に使うレンズなのかなという感じです。

体感的には長時間つけていても目の疲れを感じません。エッジの処理からも想像するに涙液の交換がある程度他の使い捨てレンズより良い可能性があります。

外すまでは疲れを感じないため、ややもすると長時間装用になりがちです。酸素透過率はそれほど高くないので会社に行く直前に着けて、帰りには外すなんて運用であれば良いかもしれません。

このレンズはグループIIなので、他のグループIVのレンズよりは汚れに強いことも予想され、それが良い装用感につながっているのかもしれません。汚れがつきにくいほど、違和感が減りますので。

基本スペック

販売名:プロクリア ワンデー
タイプ:1日使い捨て、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.7mm
含水率:60%
Dk値:20.5
Dk/L値:22.8 @-3.00D
中心厚:0.9mm @-3.00D
USAN:omafilcon A
製造:CooperVision Manufacturing Limited/U.K.(英国)、CooperVision Caribbean Corp./Puerto Rico (U.S.A.)(米国)

クーパービジョンの従来型素材のフラッグシップ。
いろいろな比較サイトでもトップクラスの評価のレンズ。
合う人は多いと思います。

クーパービジョンは国内では通信販売を制限しているので、眼科併設のところか海外通販でないと手に入らないという入手の困難さがありますが、コンタクトレンズによる障害を防ぐという会社の方針はまっとうなのかなと。




2016年9月17日土曜日

プロクリアとバイオトゥルー ワンデー比較

コンタクトレンズの着け心地を改善する一つの方法として、角膜に似せることで異物感を減らそうというアプローチがあります。

この、角膜の作りに似せた「生体模倣」をウリにしているレンズとして有名なものに次の二つがあります。

クーパービジョンの「プロクリアワンデー」とボシュロムの「バイオトゥルーワンデー」

まずはプロクリアーワンデー。

クーパービジョンのホームページにあるプロクリアワンデーの説明によると
瞳の角膜細胞をモデルにしたPCハイドロゲルは、 PCテクノロジーによって生まれた次世代のコンタクト レンズ素材です。 生体模倣の技術により、人の体になじみやすく 汚れにくいため、瞳の健康を妨げない環境を提供します。 さらに、ヒアルロン酸の約2倍の高い保湿力を持つ 保水成分MPC※の配合により、コンタクトレンズを乾燥から守ります。
と書いてあります。

一方、ソフトコンタクトレンズのパイオニアであるボシュロムが発売しているバイオトゥルーワンデー。

ボシュロムのサイトには
 自然界の優れた機能や性質を模倣した技術「バイオ・インスピレーション」。
この技術を応用して生まれたのが、独自素材「ハイパージェルTM」です。
ヒトの眼に本来備わっている機能を模倣することで、従来のレンズの欠点を最小限に抑えることに成功しました。
だそうです。高含水率なのに乾燥しにくいということもウリにしています。


プロクリアーワンデーの登場は結構インパクトがあって、ドライアイに効果があるレンズとのFDAによるお墨付きもあってか、クーパービジョンの技術力を広く知らしめる画期的なレンズでした。
Dk値20.5、Dk/L値22.8(-3.00D)とレンズデータだけ見るとお世辞にも新素材感を感じることのないレンズなのに、着け心地の評価が高く、クーパービジョンの主力商品です。クーパービジョン社の発表では12時間を超えても潤いが続く(96% hydration for 12 hours or more)とのことです。


後発のバイオトゥルーワンデーはそのあたり改善されているようで、角膜と同等の含水率78%と非常に高い数字によるDk/L値42(-3.00D)は非シリコーンハイドロゲルの中ではトップクラス。
ボシュロムの資料によるとDk値も42とあるので、厚みが0.1mmということで、意外と厚いレンズです。
16時間以上レンズが乾燥しない(maintains 98% of its moisture)そうな。


果たしてどちらが(自分にとって)優れたレンズなのか。
両方トライしてみました。
片目プロクリア、もう片目はバイオトゥルーを交合に5日間ほどトライしてみました。


着けた瞬間の着け心地という面ではバイオトゥルーのほうがやや良い感じでした。

眼科でトライアルして、正確に視力を測定したところ、ややプロクリアのほうがシャープにものが見えます。

最初にプロクリア、次にバイオトゥルーの順でトライアルしたところ、プロクリアでははっきり見えていた度数でも、バイオトゥルーだとややぼやける感じです。

その後、長時間の装用で比べてみても、経過1時間くらいはどちらかというとやはりプロクリアのほうがシャープにものが見えています。

つけ心地は、装用後30分もたつとどちらも着けていることを忘れるくらいで、甲乙つけがたく、フォーカスデイリーズアクアよりはどちらも確実に上回っています。

VDT以外(外出や休日の使用)では湿度の高い時期(9月)にトライしたせいか、どちらも感想を感じるようなケースは見られませんでした。違うことに集中しているときに、コンタクトレンズの違和感がそれを邪魔するなんてことはなく、ずれたりゴロゴロしたりするようなことも一切ないです。
湿度の高い室外から空調の聞いたドライな部屋に入った後などはどちらのレンズもやや乾燥気味になりますが、プロクリアのほうが早めに回復するケースが多かったです。

12時間以上装用してもどちらも乾きを感じることがほとんどなく、保水という面では評判通りです。
この辺りになるとバイオトゥルーはややピントが合いにくくなることが多い気がします。ひょっとすると目との相性かもしれません。
私の場合、アキュビューではBC8.5のほうが合うので(眼科でフィッティングした結果)、どちらかというとバイオトゥルーのほうが動きやすいという可能性があります。

個人的にはボシュロムのレンズとはあまり相性が良くないのかなぁという感じも。

両方のレンズともに一日を通じてレンズのエッジが気になるようなこともほとんどなく、長時間つけていても疲れが少ないです。

1時間半くらいうたたねしてしまったことがありますが、両方ともにこの程度では全く瞳に影響がありませんでした。他のコンタクトレンズだと起きた瞬間にかなり目が締め付けられる気がするのとは大きな違いです。

装用時点ではほぼ互角で気持ちプロクリアという感じでした。


で、終わるかと思ったのですが、レンズを外した際にはっきりとした違いがありました。
間違いなくバイオトゥルーのほうが外した後の違和感が少ないです。

コンタクトレンズをする場合、両眼ともに同じレンズをすることがふつうなので気づきにくいですが、左右で違うレンズを使うと外した後の違いが判ることがあります。
バイオトゥルーはより自然な感じなのが、プロクリアはバイオトゥルーよりもBCが緩いので締め付けの差というよりは酸素透過率やレンズ形状による目の負担の差が出ている感じです。


全体的な価格と着け心地その他を考えると、現時点ではバイオトゥルーワンデーに軍配を上げます。

バイオトゥルーワンデーは非シリコーンハイドロゲルのなかではトップクラスの酸素透過率を誇り、含水率も高く装用感もよいです。おまけに乾燥しにくいと従来素材の欠点を高いレベルで解決しているレンズです。

角膜への酸素供給量は素材の透過率だけでは測れないといわれていても、素材自体がそれなりに酸素を通すほうが安心です。

通販系ではあまり売られていませんが、街のコンタクトレンズやさんでは結構取り扱いがあると思いますので、とりあえず最初は最寄りの眼科でトライアルしてみて、合うようであれば通販なども使ってもよいかもしれません。