ボシュロムは国内ではメダリスト、海外ではソフレンズブランドでワンデーを展開していましたが、全く新しいブランドとして発売しているコンタクトレンズです。
バイオ・インスピレーション(生体模倣技術)によって作られた独自素材のハイパージェルによってつけ心地の良さと乾きにくさを両立しています。
最近多くなったPCを中心とするVDT作業の間、人の瞬き回数は通常の1/3くらいになるそうです。瞬きが減ることでレンズの表面はより乾燥します。
このような環境で使われるレンズとして、レンズの表面は角膜が水分を保持する仕組みを模倣して、蒸発を防止する「うるおいバリア」を形成。中心部のPoloxamer407がレンズに水分を留める構造となっています。
ボシュロムによれば16時間経過後でもほぼつけ始めとおなじくらい(98%)の保水ができるとのこと。
つけ心地に大きな影響を与える含水率は78%とソフトコンタクトレンズの中では最高クラス。非常に柔らかく着けた瞬間にみずみずしいことがはっきりと体感できます。
高い含水率と酸素の効果的な取り込みによって、Dk値は42とシリコーンハイドロゲル以外の素材としては最高峰の値です。ボシュロムによれば瞳の表面に大気中の酸素がどれだけ届くかという酸素流量率は93%と、こちらも高い値です。
さらに、非球面デザイン、UVカット機能もついていて、スペック的には非の打ち所が無いレンズです。
後発であるため、それまでの課題が克服されていると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
パッケージ
緑をベースに青でアクセントをつけたデザインは、コンタクトレンズ屋さんの店頭でも目立ちます。
国内で販売されているものは国内専用の箱のようで、箱の裏側の説明は全て日本語です。
箱の中には添付文書が入っています。
国内正規品は法律により添付文書が必要ですが、ボシュロムは国内で箱詰めするためか箱の中に入っています。
そのためか、販売時点では箱にラミネートはされていません。
アキュビューのように箱の正面に挟んでデザイン台無しにするよりは好印象です。
みずみずしい青色は却って乾燥しやすいような印象も与えがちなので、あまり水分を意識させないパッケージは乾燥に強い新世代レンズと言う位置づけを考えると斬新でした。
ブリスターパッケージはボシュロム伝統の大きめかつ、開けにくいものです。
がっちりとくっついていますが、クーパービジョンにありがちな開けた瞬間に「ピュッ」と保存液が飛んでくることはありません。
全体が大きく、レンズが入っている部分の体積も大きく取ってあり、机においたときも安定するような工夫が見られます。
ソフトレンズは蓋を開けたらそのまま手のひらにドボンと落とすような取り出し方がおすすめされているようですので、取り出し易さの形状は関係ないのでしょうか。
それにしてもボシュロムは箱大きすぎですね。
ブリスターパッケージが大きいため、必然的に箱も大きくなっています。
同じ量(30枚)で高さがこれだけ違います。
つけてみた感じ
まずはじめに目に入れた瞬間、これまでのレンズとの違いがわかります。
78%という高い含水率がなせる技なのか、瞳と一体化するようにすっと馴染みます。
この馴染みの良さはつけ心地が良いと言われるクーパービジョンを凌駕します。
これだけ高い含水率なので乾きやすさが気になるところですが、乾燥を防ぐテクノロジーによって、高含水率でありながら長い時間装用していても乾いた感じがほとんどありません。
VDT(ディスプレイを見ながら仕事をする)作業が多いため、今回意図的に度数を下げていますが、遠方が極端に見えづらくなるようなこともなく、日中は付けていることを忘れることが多いです。
メガネは目に優しいといわれていても、視界の問題やパットの違和感などがあるので、バイオトゥルーワンデーのほうが楽に感じます。
デイリーズアクアあたりだと夕方以降にレンズの違和感を感じることが増えてきますが、バイオトゥルーワンデーはあまりそういった感じを受けません。
ボシュロムによると着け始めの78%という含水率は16時間後も76.5%まで維持されているのに対して、アキュビューモイスト58%が51.5%くらいまで下がるようですので、この変化率が装用感の変化に影響していると思われます。
14時間くらい経過しても、エッジが気になるとか、目がゴロゴロするとかはありません。ほんとこのレンズは着けごこちが良いです。
見え方は他のレンズより弱い感じを受けます。
眼科で他のレンズと比較トライアルをすると、他のレンズで見えていた視力まで出にくく、やや矯正力は弱いのかなと。
ただ、これだけ含水率が大きいとレンズの形状を構成する中に含まれている水分の比率が相当になるので、多少の影響があるのかもしれません。
まぁ、それを打ち消すほど装用感が良いですし、実用上問題になるほど見えにくいということはないので、実力の高さが際立ちます。
私はVDT作業が多いので、意図的に度数を下げていることもあり、遠方の矯正力はそれほど期待していません。もちろん、遠くが見えにくいというわけでもなく、あくまでも比較してわかる程度でした。
シリコーンハイドロゲルが合わない人や、柔らかなつけ心地を求める人にとってはかなりおすすめなレンズになるのではないでしょうか。
その他
ボシュロムはバイオトゥルーワンデーを、HEMAを中心としたハイドロゲル素材の第一世代、シリコーンハイドロゲルによる第二世代に続く、第三世代のコンタクトレンズとしています。
ハイドロゲルの装用感の良さと、シリコーンハイドロゲルの高い酸素透過性の良いとこ取りをしていると。
最近では酸素透過性の高さによりシリコーンハイドロゲルが良いもので、それ以外の素材は従来型として一段劣ったものとして扱われる印象があります。
新製品が出ると、いかにも従来のものがだめなような印象を与え、かつ自分が得意とする部分を全面に押し出すマーケティングがされることが多いのですが、まさにシリコーンハイドロゲルはそんな感じで優秀さを強調されています。
シリコーンハイドロゲルは乾燥を防ぐために含水率を下げる方向にありますが、そうなると素材自体の硬さが目立ってしまい、含水率を意図的に下げていると思われるアルコンの02オプティクスのように、合わない人には全く合わないレンズになってしまいます。
酸素透過率は高いほうが良いとは言え、それによってレンズが硬くなり装用感が悪くなったり、瞳を傷つけるようなことが出てしまっては何が良いのかわかりません。
バイオトゥルーワンデーはシリコーンハイドロゲル一辺倒であった業界の流れを根本から覆すアプローチで作られたレンズであり、従来素材の改良版という見られ方をするのはメーカーとしても声を大にして異を唱えたいところでしょうね。
米国のバイオトゥルーのサイトではデイリーズアクアとアキュビューモイストが比較対象に挙げられていますが、このレンズの相手はどう見てもプロクリアワンデーですよね。
プロクリアワンデーと比較すると、含水率やDk/L値など数字的な部分は勝っています。
敢えてこれを比較対象に入れていないのは、プロクリアワンデーもかなり優秀な成績を上げているのだろうと邪推してしまいます。
私は海外のサイトから買うことも多いのですが、海外パッケージは国内パッケージとは異なり、小さいものも売っているようです。
(工場の違い、ということになるのでしょうか)
ブリスターパックの形は似ていますが、大きさが全然違います。右のサイズであれば、アキュビューと同程度の箱に収まります。
国内ではおよそ2,000円強から3,000円くらいの範囲で売られているようです。
基本スペック
販売名:ボシュロム バイオトゥルーワンデー
タイプ:1日使い捨て、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.6mm
含水率:78%
Dk値:42
Dk/L値:42 @-3.00D
中心厚:0.1mm @-3.00D
USAN:nesofilcon A
製造:Bausch & Lomb Ireland, Ltd.Dk値:42
Dk/L値:42 @-3.00D
中心厚:0.1mm @-3.00D
USAN:nesofilcon A
ボシュロムの最新ワンデーレンズ。
メダリストが通販で販売されているのに対し、こちらは国内では対面販売オンリー。
生体模倣技術が採用され、着け始めから10時間以上経過後まで乾燥感を感じることが少なく、目の疲れも少ないレンズです。
メダリストとは異なり、バイオトゥルーワンデーはアイルランドの工場だけで作っているようです。
いいレンズだと思いますが、少々入手難というところでしょうか。