2016年10月23日日曜日

ボシュロム バイオトゥルーワンデー レポート - Biotrue ONEday -

ボシュロムの最新技術の結晶「バイオトゥルーワンデー」


ボシュロムは国内ではメダリスト、海外ではソフレンズブランドでワンデーを展開していましたが、全く新しいブランドとして発売しているコンタクトレンズです。

バイオ・インスピレーション(生体模倣技術)によって作られた独自素材のハイパージェルによってつけ心地の良さと乾きにくさを両立しています。

最近多くなったPCを中心とするVDT作業の間、人の瞬き回数は通常の1/3くらいになるそうです。瞬きが減ることでレンズの表面はより乾燥します。

このような環境で使われるレンズとして、レンズの表面は角膜が水分を保持する仕組みを模倣して、蒸発を防止する「うるおいバリア」を形成。中心部のPoloxamer407がレンズに水分を留める構造となっています。
ボシュロムによれば16時間経過後でもほぼつけ始めとおなじくらい(98%)の保水ができるとのこと。

つけ心地に大きな影響を与える含水率は78%とソフトコンタクトレンズの中では最高クラス。非常に柔らかく着けた瞬間にみずみずしいことがはっきりと体感できます。

高い含水率と酸素の効果的な取り込みによって、Dk値は42とシリコーンハイドロゲル以外の素材としては最高峰の値です。ボシュロムによれば瞳の表面に大気中の酸素がどれだけ届くかという酸素流量率は93%と、こちらも高い値です。

さらに、非球面デザイン、UVカット機能もついていて、スペック的には非の打ち所が無いレンズです。

後発であるため、それまでの課題が克服されていると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

パッケージ


緑をベースに青でアクセントをつけたデザインは、コンタクトレンズ屋さんの店頭でも目立ちます。


国内で販売されているものは国内専用の箱のようで、箱の裏側の説明は全て日本語です。
箱の中には添付文書が入っています。
国内正規品は法律により添付文書が必要ですが、ボシュロムは国内で箱詰めするためか箱の中に入っています。


そのためか、販売時点では箱にラミネートはされていません。
アキュビューのように箱の正面に挟んでデザイン台無しにするよりは好印象です。

みずみずしい青色は却って乾燥しやすいような印象も与えがちなので、あまり水分を意識させないパッケージは乾燥に強い新世代レンズと言う位置づけを考えると斬新でした。

ブリスターパッケージはボシュロム伝統の大きめかつ、開けにくいものです。
がっちりとくっついていますが、クーパービジョンにありがちな開けた瞬間に「ピュッ」と保存液が飛んでくることはありません。


全体が大きく、レンズが入っている部分の体積も大きく取ってあり、机においたときも安定するような工夫が見られます。

ソフトレンズは蓋を開けたらそのまま手のひらにドボンと落とすような取り出し方がおすすめされているようですので、取り出し易さの形状は関係ないのでしょうか。

それにしてもボシュロムは箱大きすぎですね。
ブリスターパッケージが大きいため、必然的に箱も大きくなっています。
同じ量(30枚)で高さがこれだけ違います。


つけてみた感じ


まずはじめに目に入れた瞬間、これまでのレンズとの違いがわかります。

78%という高い含水率がなせる技なのか、瞳と一体化するようにすっと馴染みます。
この馴染みの良さはつけ心地が良いと言われるクーパービジョンを凌駕します。

これだけ高い含水率なので乾きやすさが気になるところですが、乾燥を防ぐテクノロジーによって、高含水率でありながら長い時間装用していても乾いた感じがほとんどありません。

VDT(ディスプレイを見ながら仕事をする)作業が多いため、今回意図的に度数を下げていますが、遠方が極端に見えづらくなるようなこともなく、日中は付けていることを忘れることが多いです。

メガネは目に優しいといわれていても、視界の問題やパットの違和感などがあるので、バイオトゥルーワンデーのほうが楽に感じます。

デイリーズアクアあたりだと夕方以降にレンズの違和感を感じることが増えてきますが、バイオトゥルーワンデーはあまりそういった感じを受けません。

ボシュロムによると着け始めの78%という含水率は16時間後も76.5%まで維持されているのに対して、アキュビューモイスト58%が51.5%くらいまで下がるようですので、この変化率が装用感の変化に影響していると思われます。

14時間くらい経過しても、エッジが気になるとか、目がゴロゴロするとかはありません。ほんとこのレンズは着けごこちが良いです。

見え方は他のレンズより弱い感じを受けます。
眼科で他のレンズと比較トライアルをすると、他のレンズで見えていた視力まで出にくく、やや矯正力は弱いのかなと。

ただ、これだけ含水率が大きいとレンズの形状を構成する中に含まれている水分の比率が相当になるので、多少の影響があるのかもしれません。

まぁ、それを打ち消すほど装用感が良いですし、実用上問題になるほど見えにくいということはないので、実力の高さが際立ちます。

私はVDT作業が多いので、意図的に度数を下げていることもあり、遠方の矯正力はそれほど期待していません。もちろん、遠くが見えにくいというわけでもなく、あくまでも比較してわかる程度でした。

シリコーンハイドロゲルが合わない人や、柔らかなつけ心地を求める人にとってはかなりおすすめなレンズになるのではないでしょうか。

その他


ボシュロムはバイオトゥルーワンデーを、HEMAを中心としたハイドロゲル素材の第一世代、シリコーンハイドロゲルによる第二世代に続く、第三世代のコンタクトレンズとしています。

ハイドロゲルの装用感の良さと、シリコーンハイドロゲルの高い酸素透過性の良いとこ取りをしていると。

最近では酸素透過性の高さによりシリコーンハイドロゲルが良いもので、それ以外の素材は従来型として一段劣ったものとして扱われる印象があります。

新製品が出ると、いかにも従来のものがだめなような印象を与え、かつ自分が得意とする部分を全面に押し出すマーケティングがされることが多いのですが、まさにシリコーンハイドロゲルはそんな感じで優秀さを強調されています。

シリコーンハイドロゲルは乾燥を防ぐために含水率を下げる方向にありますが、そうなると素材自体の硬さが目立ってしまい、含水率を意図的に下げていると思われるアルコンの02オプティクスのように、合わない人には全く合わないレンズになってしまいます。

酸素透過率は高いほうが良いとは言え、それによってレンズが硬くなり装用感が悪くなったり、瞳を傷つけるようなことが出てしまっては何が良いのかわかりません。

バイオトゥルーワンデーはシリコーンハイドロゲル一辺倒であった業界の流れを根本から覆すアプローチで作られたレンズであり、従来素材の改良版という見られ方をするのはメーカーとしても声を大にして異を唱えたいところでしょうね。

米国のバイオトゥルーのサイトではデイリーズアクアとアキュビューモイストが比較対象に挙げられていますが、このレンズの相手はどう見てもプロクリアワンデーですよね。

プロクリアワンデーと比較すると、含水率やDk/L値など数字的な部分は勝っています。
敢えてこれを比較対象に入れていないのは、プロクリアワンデーもかなり優秀な成績を上げているのだろうと邪推してしまいます。

私は海外のサイトから買うことも多いのですが、海外パッケージは国内パッケージとは異なり、小さいものも売っているようです。
(工場の違い、ということになるのでしょうか)


ブリスターパックの形は似ていますが、大きさが全然違います。右のサイズであれば、アキュビューと同程度の箱に収まります。

国内ではおよそ2,000円強から3,000円くらいの範囲で売られているようです。

基本スペック


販売名:ボシュロム バイオトゥルーワンデー
タイプ:1日使い捨て、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.6mm
含水率:78%
Dk値:42
Dk/L値:42 @-3.00D
中心厚:0.1mm @-3.00D
USAN:nesofilcon A
製造:Bausch & Lomb Ireland, Ltd.

ボシュロムの最新ワンデーレンズ。
メダリストが通販で販売されているのに対し、こちらは国内では対面販売オンリー。
生体模倣技術が採用され、着け始めから10時間以上経過後まで乾燥感を感じることが少なく、目の疲れも少ないレンズです。
メダリストとは異なり、バイオトゥルーワンデーはアイルランドの工場だけで作っているようです。
いいレンズだと思いますが、少々入手難というところでしょうか。

2016年10月20日木曜日

コンタクトレンズ屋さんと眼科

ワンデーアキュビューオアシスをトライアルしてきました。

短期の出張でコンタクトレンズを切らしてしまったため、近場のコンタクトレンズ屋さんで購入するついでに、興味のあったワンデーアキュビューオアシスも試してみました。

最初の感想は「でかい!」
もう目に入れるときに明らかに大きさが違うのがわかります。

とても大きなコンタクトレンズを目にかぶせるような感じ。

着け初めの装用感は恐ろしいほどに快適です。
着けた直後は何も着けていないのかと思うほどスムーズ。

ただ、トライアルではBC 9.0でしたので、単に緩いレンズのためエッジが気にならなかっただけかもしれません。
着けて30分もしないうちに、右目が違和感が出てきて、一瞬レンズが外れてしまったかと思うほどでした。

トライアルレンズを1日装用した時点では、夜になって下部のエッジ部分が気になってきて「値段の割にイマイチだなぁ〜」という感想でした。

今回、いつもと別の眼科に行ったのですが、以前モイストのときはBC 9.0だとずれてしまったと言っても、「ソフトコンタクトレンズはカーブは気にしないでも大丈夫」と断言してそのまま診察が終わりました。

レンズをした状態で目の動きをあまりきちんと見ているような気もせず、フィッティング適当っぽい感じでした。

統計的にはそうなのかもしれませんが、BC 9.0のときにイマイチレンズと思っていたモイストがBC 8.5にしたらまるで別物と言えるくらい良くなったという実感がありましたし、メーカーもわざわざ在庫リスク増やしてまで2種類用意しているくらいなので、BCを気にしないというのもどうかと。せめて「あなたの目の形ならBC 9.0のほうが近いはず。BC 8.5のほうが良い気がしても、キツめのレンズの弊害があるため、私はBC 9.0でしか処方箋を作らない」くらいの態度だと安心なのですが。

これだけコンタクトレンズの障害が多いのだから通販で買わないで眼科に来いと業界でキャンペーンしていても、1、2分診療でロクに確認もせず、9.0と8.5の比較もしないのでは定期検診以外受ける意味がありません。

ジョンソン・エンド・ジョンソンも眼科行け行けいうのであれば、きちんとフィッティングをしてほしいくらいの助言はしてほしいなと。トライアルレンズのBCが極端に偏って消費されるところには確認してほしいです。メーカーとしてせっかく2種類のBCを用意するという良心的な対応をしているのに、現場の医者がカーブのチェックをまるでしていないというのはどうなんでしょう。計測機械だけで解るのであれば、やっぱり販売と検診は分離してもいいのでは。
今回は「上見て〜」「下見て〜」などのレンズの動きをチェックするようなこともありませんでしたし。

コンタクトレンズの処方箋を目的に眼科に行ったところで、どうせフィッティングの違いまで見ていないのだから、ふだんは通販で買って、違和感が出たらすぐに、そうでなくても半年に一度位真面目に検査してくれる眼科に行くほうがよほど安心ですし、経済的だと思います。

ちなみに、眼科医はテキトーでしたが、検査員の若い女性の方は非常にていねいで、時間をかけて何度も視力検査のレンズを入れ替え、最適な度数を探す努力をしてくれました。右目と左目の微妙な違いや、度数をどこまで落とすとどうなるか、上げるとどうなるかということがとても良くわかり、いままでの度数よりも下げても影響が少なく、むしろよく見える(体調や環境もあるとはいえ、いままでやや過矯正気味?)ということもわかりました。これがプロの仕事だと思います。

視力は変わることもありますし、レンズによって見え方も変わるのでていねいに見てもらえただけでも診察代の価値ありますね。

こういうきちんと仕事をする人が、単位時間あたりの検査人数とかで評価されて、低い評価にならないか心配してしまいます。

とりあえず顧客を囲い込みたいコンタクトレンズ屋さんと、あまり儲からない仕事は手っ取り早く片付ける眼科の組み合わせは消費者にとっては最悪の組み合わせですね。
そういうレンズ屋に限って、使わなかった処方箋まで回収しようとしたりしますから。

全部の併設眼科がそうではないのでしょう。
ただ、大手のショップが紹介するところでコレですから、販売店も眼科とグルで設けているのかなと勘ぐってしまいます。

初回のレンズはどうしてもフィッティングを見てもらいたいので眼科に頼るしかありません。

やっぱり眼科はコンタクトレンズの売上にとらわれなく、かつ真面目な先生がいるところに限ると思います、はい。

2016年10月16日日曜日

エルコンワンデー レポート - L-CON 1DAY -

低価格なレンズとして有名なエルコンワンデー。

この立ち位置では第一人者という感じでしょうか。

率直な感想としては、いまさらグループIか、という印象です。
インターネットでコンタクトレンズの販売が激化しているいまとなっては同価格帯でもう少しスペックの高いレンズが乱立しているので、インパクトとしてはいまいちな気がします。

過去に回収騒ぎがあったり、おなじシンシアが発売するレンズにいちゃもん付けられたりと何かとよろしくない話題が多かったエルコンシリーズですが、最近は岡崎紗絵さんを起用してからイメージが格段に向上した感じです。

製造販売元は日本の企業であるシンシアですが、実際の製造は台湾の St. Shine Optical という会社です。

この St. Shine Optical はコンタクトレンズ製造の OEM 大手で、ハイテクで言うところの TSMC みたいな企業です。最近ではシリコーンハイドロゲルレンズも製造しているアジアの一大マニュファクチャーです。

日本ではシンシア以外にシードが一部の製品を製造委託しています。

パッケージ

デザインはとても好印象です。
過度にみずみずしさをアピールする古臭いデザインとは異なり、緑を基調としたポップなデザインは目を惹きます。

ブリスターパッケージもシンプルで格好いいです。

ただ、このブリスターパックは切り離して机に置くと不安定です。

他のブランドは平らな面に置いたときに安定するように工夫がされていますが、エルコンワンデーはグラグラしてしまいます。
左がエルコンワンデー。
この不安定さによって意外と開けにくかったりします。

箱はとてもコンパクトです。
アルコンのデイリーズアクアと比べると1cm以上小さいようです。

つけてみた感じ

あまりハイテクでないレンズなので大きな期待をせず(?)に着けてみたところ、思いの外装用感が良かったです。

若干コンタクトレンズを着けている感がするものの、付け始めから数時間は低含水率や酸素透過率の低さは気にならず、特に変わったこともないふつうのレンズという印象です。

半日ほど経過すると段階でやや違和感を感じることが多いです。
6時間を経過してくると、目の疲れが明らかに意識されるようになり外したい感が強くなります。
これは「酸素透過率が低い」という情報が長時間装用を避けるようにするという意識を与えているのだと思います。

わざわざそういうことを気にしながら着けるのも気づかれするので、何度か短時間使ってみてからあまり使わなくなりました。

その他


角膜に対する酸素の必要性が重視される風潮のいま、Dk/L値が11.3というのは少し厳しいのではないかと。
目に対する酸素供給は素材だけではなく、レンズのデザインによる涙の流れやレンズの動きにも影響されますが、さすがに数百円の違いで酸素透過率倍くらいのレンズが買えるのでイマイチ感が目立ってしまいます。

ところで、含水率が低いため乾燥しにくいような印象を与えていますが、これって本当なのでしょうか。
含水率が低いということは、単純にレンズに保持できる水分が少ないというだけで、蒸発のし易さ、水の吸い易さとは必ずしも連動しないような...

含水率が高くても、単位時間あたりの表面からの蒸発量が少なければ瞳の涙分を吸い上げにくいだろうし、逆にレンズに含まれている水分蒸発を保護する仕組みがなければ、たとえ低含水率でもレンズから水は蒸発し、その分瞳の涙液を吸ってしまうのではないかと思うのですが、やっぱり単純に含水率に比例するようなものなのでしょうか。

病院行くほどのレベルの人は、残された目の機能を考えるとシリコーンハイドロゲル使うべきではないかという感じですが、ごく短時間使うのであれば使い勝手の良いレンズかもしれません。

ランニングコストだけでいうなら、2ウィークのシリコーンハイドロゲルにしてAOセプトクリアケアあたりでメンテナンスしたほうが安価にドライアイ対策と酸素供給を両立できます。

どちらかというと、野球やサッカーの試合などスポーツのときだけ付けるとか、雨の日や夜間のドライブのためにいつもより度数を少しだけ高めにしたレンズが一時的に欲しい場合、そんなときに役立つレンズです。

ふだん2ウィーク中心の人が、紛失時等の予備用としてかばんにストックするにも良いかもしれません。コンタクトレンズを長時間装用する人ばかりでも無いと思いますので、ふだんは使わないが時として必要になるようなケースでは重宝するかなと。

短時間装用であれば瞳に与える影響も少ないことが予想され、そういったときに取り回しのし易いエルコンワンデーは使いやすいと思います。

全体としては少し厳しい感想になってしまいました。

このレンズ、もし1箱300円とかなら思いっきり「買い」なんですけどね。

朝の通勤時にはばっちりメイクで颯爽と出勤。会社に来たら外して捨てる。
会社ではブルーライト対応の度つきメガネで過ごして、帰りにまた新しいものを着けて寄り道デートなんてことが実現できますから。

短時間装用なら酸素透過率は多少低くても影響を抑えることができるし、とにかく安価ならつけたり外したりしてもお財布の負担も少ない。
人に見られるところではメガネをかけたくない。でも、仕事中は目の健康を考えてメガネもあり。なんて人にとってはライフスタイル変えるレンズになるんじゃないですかね?

基本スペック

販売名:エルコンワンデー
タイプ:ワンデー、終日装用
分類:グループI(非イオン性低含水)
DIA: 14.0mm
BC:8.7 mm(他に9.0mmの設定あり)
含水率:38.5%
Dk値:7.93
Dk/L値:11.3(-3.00D)
中心厚:0.07mm @-3.00D
製造:ST. SHINE Optical Co.,LTD(台湾)

製造販売元はシンシアという日本のメーカーですが、実際にはOEMですね。
旧世代のレンズなので今の販売価格は少し高いかな。
同じ価格帯でデイリーズアクアやメダリストワンデー買うことができるケースがありますし。