2016年11月8日火曜日

ワンデーアキュビュートゥルーアイ レポート - 1 Day ACUVUE TruEye -

世界初ワンデータイプのシリコーンハイドロゲルレンズ。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」


このレンズを使ってみて、特に合わないということがなければ、もうコレ使っておけばいいのではないでしょうか、というくらいのレンズです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの第三世代ハイドラクリアテクノロジーによって、人の角膜よりもなめらかな表面となっていて、硬い素材でありながら良いつけ心地を実現しようとしています。

ちなみに、この滑らかさ(摩擦の少なさ)はアキュビューモイストのほうが上回っています。成熟した製品は強いです。

また、トゥルーアイは裸眼時と比べてもおよそ98%の酸素を通します。アキュビューモイストは88%、デイリーズアクアは89%あたりなので、それと比較してかなり裸眼に近い状態だといえます。
このくらいだと一日着けていてもそれほど影響がないのではないかと考えられています。

Dk/L値は118とワンデーアキュビューモイスト(33.3)の3倍以上。
まさに桁違い。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの伝統であるUVカットもついていて、とにかく目に優しいような謳い文句を揃えたレンズです。

シリコーンハイドロゲルレンズはアルコンやボシュロムも出していますが、トゥルーアイの特筆すべき点はその価格です。他社シリコーンハイドロゲルと比べても2/3程度の価格で入手できることもあります。

パッケージ


アキュビューシリーズで統一されたコンセプトを受け継ぐデザインです。
モイストよりも少しだけ高級感が感じられると言ったところでしょうか。


アキュビューのブリスターパッケージはほぼどれもおなじ正方形のもの。
他のメーカーと比較するとあまり工夫の無い印象を受けます。


ブリスターパッケージを切り離す際に、注意しないと隣のパッケージまで切ってしまうこともありますので、もう少し工夫があってもよいのかなと言う気もします。

今回はアイルランド製のようです。


つけてみた感じ


コシがあるレンズのため、ブリスターパッケージから取り出しやすいです。
保存液は気持ちぬるぬるしているもので、コンタクトレンズを入れる際になじみやすそうな印象を受けます。

形の問題なのか、素材の問題なのか、瞳へのノリは少し悪い感じもします。
一度入ってしまいさいすれば違和感がなく、ずれて落ちてしまったのかなと思うくらいのときもあります。

トゥルーアイは視力が出やすいレンズです。
眼科で比較してみると同じジョンソンエンドジョンソンのアキュビューモイストと比較してもより明るく、はっきりとものが見えます。(つけた直後だけかもしれません)

そのためか、他のレンズに比較して近くが見づらい(いわゆる老眼状態になる)ため、VDTが中心であれば少し度数を落とさないと目の負担が大きいかもしれません。

46%と従来のハイドロゲル素材と比べると含水率の低いレンズですが、装用感は高含水レンズと遜色ないつけ心地です。

数時間経過後の段階では、レンズが意識されることも少ないです。

ただ、8時間を経過してくるとややレンズのエッジ部分が気になり始まりだすことがあります。
これはいつもというわけではなく、ときどき意識される程度です。
今回BCが8.5のほうを着けているので、よりその感覚が強くなるのかもしれません。

ちなみに、このレンズのBC9.0は私には緩く、瞬きをしたときに外れたり、なんかの理由で目を軽くでもこするようなことがあるとすぐに外れて落ちてしまう経験を何度もしました。

モイストでもずれたり折れたりした経験が何度かあることからも、アキュビュー系のBC9.0は私にとっては明らかに緩いです。(コンタクト屋さん併設眼科でみてもらったうえで購入しました)

その後、他の一般眼科で両方のフィッティングを見てもらったところ、どちらでも目の中の動きは問題ないが、8.5のほうが締め付ける感覚を覚える可能性がありつつも、ズレが少ないので向いているだろうとのことでした。

シリコーンハイドロゲルのレンズはタンパク汚れに強く、脂質の汚れに弱いと言われています。
ごくまれに長時間着けているとやや曇るような感じを受けることがあります。

また、なぜか一時的に視力出にくくなることがあります。
もともと私はそれほど近視が強くないため、一瞬レンズが外れてしまったのかと感じます。
(実際にはレンズを外すとそれ以上に見えないが、見えている方との比較になるためこのような感じをうけます)

装用感が比較的良いため、外れいているのか入っているのかがわかりにくいということもあります。

全体としては極端に目がつかれるようなこともなく、明らかに従来のハイドロゲル素材よりも楽です。


その他


シリコーンハイドロゲル素材のワンデーレンズとして業界を独走していましたが、最近次々と各社がこの素材でワンデータイプのコンタクトレンズを発売してきました。

後発のメーカーはより装用感の向上にポイントをあて、表面加工や含水率等の工夫をしています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンも、最新の技術を投入したワンデーアキュビューオアシスを発売し、シリコーンハイドロゲルレンズも1社で複数の商品を揃える時代に突入しました。

トゥルーアイはお手軽にシリコーンハイドロゲルを使うことができるという点においては、独自の立ち位置にあります。
価格的には従来のハイドロゲル素材並で、高い酸素透過率を得られます。

体質的にシリコーンがダメな人もいるので、すべてがシリコーンハイドロゲルに置き換わることは無いと思われますが、シリコーンハイドロゲルの中ではベーシックモデルとして続きそうな気もします。

基本スペック


販売名:ワンデー アキュビュー トゥルーアイ
タイプ:1日交換、終日装用
分類:グループV(シリコーンハイドロゲル)
DIA:14.2mm
BC:8.5mm(他に9.0mmもあり)
含水率:46%
Dk値:100
Dk/L値:118 @-3.00D
中心厚:0.085mm @-3.00D
USAN:narafilcon A
製造:Johnson & Johnson Vision Care, Inc. (米国)、Johnson & Johnson Vision Care (Ireland)(アイルランド)

世界初シリコーンハイドロゲルワンデー。米国のVistakonで開発されました。
素材そのもののDk値は先行して販売されていた2ウィークタイプと比べて高くないものの、ワンデータイプとして十分な酸素透過性を持ち、高めの含水率によって装用感もよいです。

価格的にはすでに同社のアキュビューモイストと比較してもそれほど変わらず、ハイドロゲル素材ならモイスト、シリコーンハイドロゲルならトゥルーアイと両立した商品展開がされています。

お値段から考えても、体質的に合わない人を除きワンデータイプのシリコーンハイドロゲルとして最もおすすめになるレンズではないでしょうか。

2016年11月2日水曜日

デイリーズアクアとデイリーズアクアコンフォートプラスの比較

日本アルコンから販売されいてる「デイリーズアクア」と「デイリーズアクアコンフォートプラス」

街のコンタクトレンズ屋さんでも取扱が多く、特に前者は比較的安価に販売されていることもあり愛用している人も多いと思われます。

国内の通販サイトでも1,300円くらいで買えますし。

他方のデイリーズアクアの上位バージョンで、潤いを改善したことがウリの「デイリーズアクアコンフォートプラス」(以下は「コンフォートプラス」と記します)

こちらは結構高くて、国内サイトだと2,000円を超える値段で売っているケースが多く、海外サイトで購入しても送料込みで2,000円弱します。

このふたつ、似て異なるレンズでしてレンズそのものの素材はおなじなのに、ベースカーブやDIAといった形状が異なります。

箱のデザインも結構違っていたりします。
(両方とも国内正規品)
サイズ表記もフォントからレイアウトから全部違います。

説明書きもデイリーズアクアは日本語中心のいかにも日本人向けですが、
コンフォートプラスは海外のパッケージそのままです。

デイリーズアクアは海外パッケージとは別に国内パッケージを作っているため日本語中心ですが、コンフォートプラスは世界共通パッケージをそのまま国内でも流通させているといったところでしょうか。

コンフォートプラスはデイリーズアクアの改良版とされています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンのアキュビューのように、素材と形状は同じにしながら潤い成分などを変えて改良するのではなく、基材だけ同じにしてイチから全く異なるレンズを作っています。

形状の違いのほか、コンフォートプラスの方は保存液にHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)とPEG(ポリエチレングリコール)が含まれています。

前者は食品加工物としても使われていて、滑りや粘り気を与える効果があります。アルコンではクッション材と例えています。
また後者は界面活性剤の性質を持ち、吸湿性を利用することで蒸発を防ごうとしているものと予想されます。同じくアルコンのサイトでは涙を引き寄せると書かれています。

というか、形状はともかくとして保存液しか違わないのですかね、このふたつは。

形状の改良により乾燥に強くなったという可能性もありますが、実はあまり影響がなく、むしろ大きくなったことによって装用感は上がったかもしれませんが、その分レンズが瞳の涙を吸収して発散することから乾燥する可能性は増えたのではないかと。

店頭ではそれなりの価格差で売られていますが、もしそのほとんどが保存液の改良分だとしたら、お値段に見合う効果があるのかと期待しちゃいます。


ということで、片目にデイリーズアクア、もう片目にコンフォートプラスを使い比べてみました。

ブリスターパックの形状はおなじ。

デイリーズアクアは5枚全体でひとつのデザインになっていますが、コンフォートプラスは一つ一つがおなじデザインで独立しています。

アルコンのこのパッケージは切り離しがしやすく、開けやすい秀逸なデザインだと思います。

着けて比べてみました


初めに、ブリスターパックを開けてレンズを取り出そうとすると、保存液の違いがはっきりと判ります。

デイリーズアクアは比較的さらさらとした保存液なのに対して、コンフォートプラスはかなりぬるぬるしています。同時に触ると明確に違いが感じられます。
このぬるぬる度合いは保存液にうるおい成分が入っているプロクリアワンデーよりも上です。

レンズの色もデイリーズアクアはほぼ無色に対して、コンフォートプラスは薄い青色で判りやすい。
感覚的には改良されていることがわかりやすいです。


実際に比べてみた結論としては...

うーん、違いがわからないかな。

ソフトレンズなのでベースカーブの違いもあまり影響が無いですし、サイズは若干コンフォートプラスのほうが大きいものの、それほど意識されることもないです。

朝のつけた直後の感想としてはほとんど同じです。
コンフォートプラスのほうが保存液の潤いがあるため、気持ちフィット感が良い感じを受けますが、着けて数分もしてみればそれほど違いがあるようにも感じられません。

午後から夕方にかけてはもうどちらがどちらなのか判りにくい感じです。
むしろコンフォートプラスのほうがBCが大きいせいか少しエッジの違和感を感じることがあります。ただ、明確な違いがあるかと言われればわからないというところが本音です。

酷使する効き目側は違和感を感じやすいのですが、この違和感はコンフォートプラスの時のほうが感じることが多かったのは意外でした。

12時間を超えるくらいになるとデイリーズアクアのほうが少しゴロゴロする感じを受けます。しかしこれも明確に違いが分かるのかと言われれば気のせいかも、という程度です。
日によっては感じないこともあり、明確な差が出るほどではなく、誤差の範囲のような気がします。

このふたつのレンズの比較に限って言えば、違いがほとんどわかりづらいという結論です。

ドライアイの人であれば違いが明確にわかるかもしれません。ただ、私はほとんどコンフォートプラスの保存液効果を感じることはありませんでした。乾燥感にしてはほとんど同じでした。

デイリーズアクアは滑って外しにくいという意見が多いレンズです。
慣れるとそれほどでもないのですが(トータルワンやオアシスワンデーのほうがずっと外しにくい)、コンタクトレンズ全体の中では滑りやすい方かもしれません。

これについてはデイリーズアクアもコンフォートプラスもほぼ差がないといえます。

店頭での価格差を考えると、総合的にどちらかと言われれば私ならデイリーズアクアに軍配を上げます。

コンフォートプラスで採用された技術は装用直後など確かにある程度の効果を感じることがあります。

ただ、乾燥が気になる人であればソフトサンティアなどをこまめに差したほうが現実的です。

コンフォートプラスの価格帯になると、シリコーンハイドロゲルと競合するゾーンになるので、従来素材にこだわらなければトゥルーアイも比較対象に入ってきます。
酸素透過性、感想のしづらさでは一定の評価があるトゥルーアイと勝負をするのは少し厳しい感じです。

逆に、シリコーンハイドロゲルが合わない体質であれば、デイリーズアクアにしたほうがお財布に優しく、より「使い捨て」感あるレンズです。

シリコーンハイドロゲルの半値近い価格メリットを活かして、装用時間を短くした朝晩のピンポイント2枚使いなんてのもありなんではないでしょうか。

ディスプレイ作業が多い人は日中はメガネでも問題なさそうですしね。