2016年8月24日水曜日

酸素透過率(Dk/L値)について

コンタクトレンズの性能を表す一つの指標 Dk/L値。

人間の瞳(角膜)には血管がなくて、大気から直接酸素を吸収しているため、黒目全体を覆ってしまうコンタクトレンズがどれだけ酸素を通すというかはそれなりに重要視されています。

酸素を通す指標は、素材そのものがどれだけ酸素を通すかというDk値(酸素透過係数)と、そのDk値をレンズの厚さで割ったDk/L値があります。

酸素をよく通す素材でも厚くなると通りが悪くなるということだそうです。
逆に言えば、酸素の通りがちょっとだけ悪い素材でも、薄く仕上げることができればそれなりに瞳には酸素が届くということにもなります。

で、このDk/L値はどのくらいあればよいのか、ということになると

広く知られている1984年の Holden and Mertz によれば

終日装用なら DK/t値は 24
連続装用なら DK/t値は 87
が minimum acceptable (受け入れられる最低)だそうです。

また、その後に発表された1999年の Harvitt and Bonanno は
終日装用なら DK/t値は 35
連続装用なら DK/t値は 125
が角膜が酸素不足にならないために必要な値としています。

後者までいくと、ほとんどの従来素材はアウトですね。

角膜への酸素供給はほとんどがレンズに含まれる水分や涙を介して行われるので、レンズの形状によって涙液交換がスムーズだったりすると数字以上の効果があったりします。そもそもDk/L値自体がメーカーの独自計測なので比較にならないとかいう意見もあるので鵜呑みにするのもどうかという意見もあります。

ただ、数字がいいほうがいい気もしますし、明らかにDk/L値が劣るグループIのレンズは個人的には長時間装用したくないという気もします。

まぁ、いくら目に酸素を届けても朝食抜いていたり、お酒飲んだりタバコ吸ったりしているほうがよほど悪影響ではあると思うので、気分と程度問題であるような気がしないでもないです。


僕が自分の娘(自分ではなく)にコンタクトレンズを選ぶとしたら、中学生から高校生くらいまでであれば「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」を選びます。
経済的には2ウィークのほうが良いのですが、お手入れをきちんとしないことが想像できるので、やはりワンデーにします。
また、成長期は眠くなることもありついついウトウトしてそのまま寝てしまうなんてこともあるので、従来素材よりはシリコーンハイドロゲルのほうが良いです。

1か月1,000円程度の差がでるかもしれませんが、親として子どもの幸せを願い、自分のお小遣いを減らしてでもこれからの長い人生で必要な視力を損なったり、ドライアイで悩まされるようなことは避けたいと考えます。

もちろん、そう考えると眼鏡がベストなわけですが、学生生活で眼鏡をするより裸眼に近いコンタクトのほうがより活動的に過ごせるならそこは支援したいなと思うのです。

合わないコンタクトをし続けた結果、レーシックをしたいとか言い出さないようにするという予防でもあります。

年齢が上がるに連れお手入れができるかどうかの確認も含めて、何度かは2ウィークにチャレンジさせ、習慣付くようであれば2ウィークのシリコーンハイドロゲルタイプでも良いかなと考えています。

2016年8月8日月曜日

ボシュロム メダリスト ワンデープラス レポート - Medalist Oneday Plus -

ボシュロムの定番ワンデー「メダリストワンデープラス」
海外では「SofLens daily disposable」という名前で販売されています。ちなみに海外ではやっとシリコーンハイドロゲルを出し始めたっぽいですが、国内では品ぞろえ的にもやる気的にも他のメーカーに負けている気がしてなりません。


パッケージ

国内専用のパッケージ。
ボシュロムはブリスターパックが大きいので、必然的に箱も大きくなっています。箱が大きいことによるメリットはあまりないので、もう少し小さいほうが個人的にはいいのですが。
同じ角度からアキュビューの箱と比べてみました。高さにかなり差があることがわかります。
開けてみるとこんな感じです。
いろんな意味でごついのですが、なぜか添付文書だけは他のメーカーより小ぶりです。

ボシュロムのブリスターパッケージは、開けにくいしデカい形状の割にはレンズが入っている部分はさほど大きくもなく、むしろ深くて取りにくい気がします。
おそらくしっかりとしたつくりをしようというこだわりがこの結果につながっているのでしょうけど、正直お客さんはそれを望んでいないような...

つけてみた感じ

最初の印象としては「視力が出にくいなぁー」というところでした。
どうも片目だけ視力の矯正が弱い感じがして、最初はレンズが入っていないのではないかと思ってしまうほどでした。

一方で目に入れた直後の装用感はとても良くて、エッジが気になるようなこともなく、目と自然に一体化するような感じです。デイリーズアクアあたりと比べると、圧倒的に装用感が良いです。ときどきつけていることを忘れるくらい。

含水率が高いレンズなので、長時間装用時の乾燥からくる疲れた感じを予想しましたが、あまり変化もなく、目が疲れにくいレンズでした。
一度レンズをしたままうたた寝してしまったことがありましたが、デイリーズアクアやアキュビューモイストあたりと比較して圧倒的に目に対する負荷が少ないというのが実感です。

フィット感は良い気がしますが、何かがあっていないのか、一日のうちで何度か視力が出にくくなっていると感じることがあります。片目だけにこの症状が起きるととても違和感を感じるため、すぐ気が付きます。車の運転などをする場合はほかのレンズよりも一つきつめになるのではないかと。しかも、同じ側だけが出にくいのではなく、時には右目、時には左目が出にくい感じがして、見え方にやや違和感を感じることが多いです。この辺りは眼科で要相談というところでしょうか。

逆にばっちりあっているようなときはものすごく遠くまで鮮明に見えて、「おぉ、これがHDか!」と思う瞬間が結構あります。視力が出るのか出ないのかよくわかりません。時間でみればよく見える時間が圧倒的に長いのは間違いありませんが。

装用感以前にこの視力が安定しないという印象が強く残ってしまい、個人的には値段を考えると常用はないかなぁと。
雨の日など湿度高めの日はこの状態は出ないのでコンタクト表面の水分によるものなのかもしれません。

ただ、このレンズはつけている間にずれたり折れたりということは一度もないので、その点はとても優れたレンズであるという印象です。今では結構安価に手に入れることができるレンズですが、この品質の安定感はさすがだなと。

その他

ボシュロム以外の各社はシリコーンハイドロゲルのワンデーをどんどん出しています。
ボシュロムにも1か月(?)のシリコーンハイドロゲル「Bausch+Lomb ULTRA」がありますので、今後シリコーンハイドロゲルワンデーにも進出してくるかもしれません。

いまのところはこのメダリストとバイオトゥルーの二枚看板でシリコーンハイドロゲル以外の需要を取りに来ているというところでしょうか。

このレンズはDk値が22と、やはり最新のレンズと比べると酸素透過率が悪いことが気になります。屈折度数が大きい人はやっぱりシリコーンハイドロゲルにしたほうが良いのかもしれません。ボシュロムはせっかくバイオトゥルー出しているのに、いまだにメダリストのほうが目立ちますね。

このレンズは高含水でありながらも、非イオン性のグループIIなので、レンズが汚れにくいというメリットがあります。これはデイリーズアクアやアキュビューモイストに対するアドバンテージです。
個人的には意識されるほどの違いはないという印象ですが、目やにが多い人や職場環境によって決定的な違いが出る可能性もあります。

逆を言えば、このレンズで視力が出にくいなどの問題がなければ、とりあえず非イオン性というメリットを享受するために選ぶという選び方もありなのではないかと。

基本スペック

販売名:ボシュロム メダリスト ワンデープラス
タイプ:1日使い捨て、終日装用
分類:グループII(非イオン性高含水)
DIA:14.2mm
BC:8.6mm
含水率:59%
Dk値:22
Dk/L値:- @-3.00D
中心厚:0.9mm @-3.00D
USAN:hilafilcon B
製造:Bausch & Lomb Scotland, Ltd.、Bausch & Lomb Ireland, Ltd.

ボシュロムの定番レンズ。
あまり話題に出ることもなく、最近はレニューなどのケア用品に力を入れている感じもしないでもないボシュロム製品。
お堅い会社の風土なのか、工業製品的な優秀さを売りにしているが、ユーザーは「潤い感」だとか「装用感」といった感性に訴える商品に惹かれているっぽい気がしないでもない。
レニューの売り方みたいにレンズも売ればよいのに。